“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>56.日立造船情報システム

2004/06/07 16:18

週刊BCN 2004年06月07日vol.1042掲載

 日立造船情報システム(福武映憲社長)は、ERP(統合基幹業務システム)「オラクルEBS」の大規模実装の実績とノウハウを武器に、全国規模でのオラクルEBSの販売拡大に力を入れる。同社は今年4月から、親会社である日立造船のグループ会社のうち約60社を対象に、向こう3年間でオラクルEBSを順次導入していくプロジェクトを立ち上げた。

オラクルEBSのノウハウを生かす

 日立造船情報システムは、これらの導入プロジェクトの中心的役割を担っている。日立造船本体に対しては、2001年4月にオラクルEBSを納入した実績を持つ。一連のプロジェクトを通じて、多数のグループ企業へオラクルEBSを展開するノウハウを得ることで、グループ外への販売拡大に「弾みをつける」(岡野健一・SI統括部副統括部長)考え。

 グループ企業約60社へのオラクルEBSの展開によって、経理、人事などの間接業務を専門会社へ集約するシェアードサービスを進めたり、連結会計の迅速化や各種セグメント別による分析など、グループ経営力を高める仕組みづくりに取り組む。

 日立造船情報システムでは、グループの経営効率やコスト削減を進めることで、3年後の全体稼働後から5年間(今年4月から8年間)に、オラクルEBS導入に投資した費用を回収できると予測する。同社は日立造船の本社がある西日本地区では「オラクルEBSのトップディーラー」(同)を自負しているが、今回のグループ向けのオラクルEBS導入実績を通じて得たノウハウをフルに生かして、従来以上の拡販を狙う。

 同社は、もともと金型業界向けのCADに強いシステムインテグレータで、現在も売上高の約半分をCAD関連が占める。このため顧客先を部門別で見ると、ERPの商談相手となる経営企画部門よりも、CADの商談相手である設計や研究施設、生産管理に関連する部門が多い。また、オラクルEBSの納入実績を業種別で見ると建設業やエンジニアリング業が多く、エリア別に見ると西日本地区が納入数の過半数を占める。

 今後は、東日本地区の営業力強化や、企業の経営者層に対するコンサルテーション力の強化など「営業体制の見直しを進める」(岡野副統括部長)とし、これまで比較的弱かったエリアや顧客経営トップに対するERPの営業力を強化する。オラクルEBSを軸としたERP事業の大幅拡大を図ることで、今年度(05年3月期)は、前年度比およそ10%増の売り上げを目指す。(安藤章司)
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