松下電器産業

　ソフトショップに行くと、やたらとDVD映画が目立つ。主婦も「DVD録画はメチャ簡単よ」との声。日本映像ソフト協会に聞くと、2003年のビデオソフト市場は前年比8％アップの3500億円、中でもDVDは前年比31％アップ、1億4000万枚、2500億円である。VHSの衰退は寂しい。一方、電子情報技術産業協会（JEITA）に聞くと、03年は民生用電子が久方振りに前年比15％アップで、その中心はやはりデジタル家電、DVD録／再機は生産40％アップの1200億円とうれしい限りである。

　ところでDVD急伸の秘密はデジタルできれい、そしてVTRよりコストパフォーマンスがよいことであろう。DVDの新作2000－3000円台であり、旧作在庫が片付けばDVD一色になるのでは。さらにレンタルDVDも出てきた。このことはDVDゲーム機がトリガーとなったが、英会話など教育もの、料理資格の専門学校のテキストのDVD化も拍車をかけている。文芸春秋3月号では、遠山哲夫氏が中国での海賊版DVDを取り上げ、日本のポップカルチャーの浸透で、中国の若者の日本理解が向上しているとのこと。かつてアメリカのポップカルチャーが海賊版VHSとして流入し、ミサイルを使わずソ連を解放したのと同じことかもしれない。

　本紙BCN3月8日号、吉田雅史氏によると、中国がDVDからEVDへの国策挑戦の話があるが、コンテンツがどこまでついてくるか。ハリウッドでもDVD海賊版対策に躍起だし、BB通信では個人の違法コピーが出始め、そこへ早くもブルーレイ、HD－DVDの話題。お客さまは忙しくてついていけないのでは。折角デジタル家電で第2次ITブームに火がつこうとしている。DVDを大事に育てたい。ねえ！ワトソン君、「海賊版にも、国境解放という役立ちがあるね」。「うーん、いつの世もアングラからですかね」。