拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略
<拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略>第7回 高分子試験装置製造・販売の東洋精機製作所編(3)
2004/05/24 16:18
週刊BCN 2004年05月24日vol.1040掲載
合言葉は「COBOL資産を搾り出せ」
東洋精機のEDIシステムを受注したミツイワは、「東洋精機が初めてCOBOL資産を外に出し、オープン化へ移行する意思を示した」(早瀬義光・営業本部東京営業部第二課長)と、これを機にオフコンを扱わない他のシステムインテグレータにもチャンスが生まれたと指摘する。事実、東洋精機は今年7月、書類関係を電子化してウェブ上で運用するシステムを大塚商会と日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の2社連合に発注。EDIシステムの効果を知った東洋精機は、「フロントシステムをどんどんオフコンから切り出す意識が強くなった」(林課長)と、IT投資に対し積極的になり、基幹系がオフコンから別のシステムに移行する時期もそう遠くないだろう。東洋精機のシステム構築受注を狙うシステムインテグレータは、同社のフロントシステムを数々請け負いながら「COBOL資産を徐々に搾り出して」、最終的には、ハードウェアの購入につながる最も利益率の高い基幹系システムのリプレース作業を受注することを最終目標としているわけだ。
東洋精機の社内には、EDIの導入を機に各部署の課長で組織する「ウェブ委員会」ができた。現在、同委員会で検討されているのは、EDIシステムと自動倉庫とを連動させた在庫管理システムや、試験機の製造部門で使う生産管理システムなどだ。2年前には、財務パッケージの導入も検討されたが、「セキュリティ面からもオフコンで十分」という三原観治社長の“つるの一声”で取りやめになった経緯がある。
精密機器を製造する生産管理システムは比較的大きな予算を必要とする。それだけに、水面下では同委員会の情報を知るシステムインテグレータ同士のつばぜり合いが続く。しかし、生産管理システムは、東洋精機のビジネスプロセスやワークフローを熟知していないと受注は難しい。この状況を首尾よく把握でき、重要なシステムとなる生産管理を受注できれば、最終的に基幹系を獲得できる“勝者”となる可能性が高い。(谷畑良胤)
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