China 2004→2008

<China 2004→2008>3.割高でも急増するBB環境

2004/05/24 16:18

週刊BCN 2004年05月24日vol.1040掲載

 前号では、急速にデジタル社会へシフトする中国の一端を紹介した。ネットから音楽データをダウンロードしてMP3プレーヤーで聞く。ネットで株価をチェックしながら、銀行が提供する24時間オンライン外国為替サービスで通貨の売買する――。あくまでも上海のような都市圏に住む中流家庭での現象ではあるが、決して一部の特権階級ではなく、ごく普通の人々の暮らしの一面なのである。それだけ日本と同様にネットは生活の中に溶け込み始めている。(坂口正憲(ジャーナリスト))

 筆者が中国を初めて訪れた5年前、ネット接続の環境を自宅に備え、電子メールアドレスを持っている人は限られていた。教師など比較的に高い給与をもらい(平均賃金の2-3倍)、それなりに知的好奇心が高い人々。それが今や状況は様変わりした。中国ネットワークインフォメーションセンターが4月に発表した「第13回インターネット報告」によると、2003年下半期段階で中国のネット人口は7950万人に達している。現在なら8000万人を確実に超えている。これはパソコンによる接続のみである。

 日本の場合、03年のネット利用者が7730万人。このうちパソコンでのネット接続は6164万人である。人口のベースが全然違うとはいえ、中国は日本を上回るネット大国になっている。ブロードバンド(BB)化も急速に進んでいる。上記調査では、ブロードバンド環境を利用するのは1740万人。ネット人口の22%である。日本の場合は48%なので、この分野ではまだ開きがあるが、追いつくのも時間の問題だろう。

 筆者も上海の活動拠点にADSLをひいたのは昨年夏のこと。国営電話会社のチャイナテレコムの事務所に行くと、ADSLサービスを大々的にアピールしていた。職員のセールストークも「今どきISDNのダイヤルアップ接続を申し込む客なんているわけがない」と、いたく強気だった。チャイナテレコムのADSLサービスは月額100元。一括で1年分の料金を払い込むと1000元に割り引いてくれるが、それでも工場やレストランで働く人の月給レベルだ。購買力平価で言えば、日本円で12-13万円といったところで、これは決して安くはない。中国ネット社会の急激な発展ぶりは、日本人のわれわれには推し量れない不思議な部分がある。
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