China 2004→2008
<China 2004→2008>2.突然やってきたデジタル社会
2004/05/17 16:18
週刊BCN 2004年05月17日vol.1039掲載
2年前、知り合いの中国人の娘さん(当時は小学校6年生)にソニーのウォークマンをプレゼントした。ウォークマンといっても廉価版なのだが、当時の中国でヘッドホンカセットを持ち歩く子供はほとんどなく、彼女は非常に喜んでくれた。
中学生となった彼女は今や中国製の超小型MP3プレーヤーを持つようになり、自分でパソコンを使ってインターネットから楽曲データをダウンロードして聴いている。
わずか2年前、彼女の身の回りにはMP3プレーヤーもパソコンもインターネットも存在していなかった。それが今では、手慣れた様子でデジタル機器を使いこなしている。彼女に話を聞いてみると、同じ年ごろの若者のなかで彼女が特異なわけではないようだ。
21世紀を生きる彼女自身からすれば、この変化は何のこともないのかもしれないが、中国社会全体に敷延して考えると、デジタル社会への急速なシフトが起きていることが分かる。
日本の場合、ヘッドホンカセットとMD(ミニディスク)プレーヤーが築いた“アナログ文化”の層が厚く、MP3プレーヤーのようなデジタルオーディオが出現しても変化は緩やかで、今でも日本の中高生の多くはMDプレーヤーを持ち、レンタルCDから楽曲をダビングして聴いている。
別の知り合いの中国人は、銀行が手掛ける24時間自動外国為替サービスを利用している。インターネットで為替変動をチェックしながら手持ち通貨が替え時になると、銀行のコールセンターに電話し、IVR(音声自動応答システム)を通して取引する。真夜中でもお構いなしだ。
日本人の筆者からすると、先端の金融サービスに思えるが、利用する当人は「銀行として当たり前のサービス」と、特別なものとして捉えていない。
中国ではデジタルと通信がもたらす社会変化があまりにも速く、その社会に暮らす人々は変化に対して無自覚になっている。変化はある日突然やってきて、次の日から普通になってしまう。
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