IT Stock Frontline

デジタル家電が映す 株価の明暗

2004/05/17 16:04

週刊BCN 2004年05月17日vol.1039掲載

シャープ、キヤノンなど好調

 大手ハイテク企業は2004年3月期決算を4月末に発表。収益の好不調によって株価は明暗を分ける展開になっている。

 好調組の筆頭はシャープ。液晶テレビの販売額が前の期の2倍に膨らみ、04年3月期の営業利益は1216億円(前の期に比べて22%増)。液晶パネルを生産する世界最先端の亀山工場(三重県)の稼動で05年3月期の営業利益は1500億円(23%増)を狙う。シャープに限らず、パイオニア、三洋電機、日本ビクターなどもデジタル景気によって収益が拡大している。

 キヤノンも好調。1-3月期決算発表の席で04年12月期の業績見通しを早くも上方修正した(営業利益を4650億円から4990億円へ)。デジタルカメラやプリンタなどの新製品を積極的に投入、コストダウンだけではなくシェアの拡大で利益を積み上げたことが評価される。株価は今年の高値圏に上昇しているが、株式の売買単位を5月6日から1000株を100株に引き下げたことも注目される。

 株価が5000円台のキヤノンはこれまで最低投資金額が500万円台と東証1部上場企業で最も大きかった。10分の1の50万円台になることで個人などに投資家層が広がることになり、株価形成に好影響が予想される。

 一方、復活が期待されたソニー。業績を大幅に下方修正して株価が急落した「ソニーショック」から1年。今回の決算も投資家の信頼を回復するには至らなかった。04年3月期の営業利益は989億円と47%減、今期の見通しとして打ち出した1600億円(62%増)は市場の予想を下回った。また、デジタル家電は販売価格下落が大きく、コスト削減が追いつかず4-6月期は営業赤字の可能性もあることを明らかにしている。デジタル家電分野での出遅れ、構造改革の遅れが収益の足を引っ張っている。

 ところで、米国市場ではインターネット検索大手グーグルのIPO(株式新規公開)が話題。今年夏にも上場の見通しで、公開に伴って調達する金額は27億ドルとネット関連企業では最大になる。(有賀勝久)
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