大遊泳時代
<大遊泳時代>第17回 弱者保護と防犯カメラ
2004/04/26 16:18
週刊BCN 2004年04月26日vol.1037掲載
松下電器産業役員
最近、大阪の天神橋筋、心斎橋筋の2大目抜商店街で聞くと、強盗殺人事件のあと防犯機運が高まり、ストリート、アーケードに防犯カメラを設置すると、通行人も商売人も意識することなく事件が減少したとのこと。また、先日のセキュリティショーでは、ジャトー(大阪市北区)からカメラ付き太陽光発電防犯灯が出品され、人だかりであった。ソーラーで電源工事不要、7日間不日照OK、サイレンと回転灯、その上、各社よりデジタル圧縮のHDDビデオレコーダのオンパレード、160GBや240GB…なんと200日位の長時間記録がOK。これを日本海側においておけば、北朝鮮の拉致問題も防げたかもしれない。さらに、大阪の御堂筋の一部では不法駐車で6車線中3車線までふさがれており、いくらなんでも開いた口がふさがらない。こんなアウトローには携帯カメラでの通報制を採用、罰金を強化してはどうか。先日の朝日新聞によると、東京都杉並区で防犯カメラの設置について大型店、劇場などにプライバシー保護の視点より届出義務、明示義務、画像第3者提供禁止の条例が可決された。これはこれで理解できるが、現在世界で最も多く公共空間に防犯カメラシステムが普及している英国では、当初のプライバシー保護の議論を経て、'90年代前半に強盗犯罪解決に効果ありと広く社会的に受容されだしたと財団法人、都市防犯研究センターのレポートにある。
大阪のある学校の先生いわく、1学級を35人にするために数百人の先生を増員して数10億円使うより、全教室に防犯カメラをつけた方が余程安上がりで落ち着くという。ところで、「防ぐ」ということはIT・機械でできるが、「助ける」ということは人間の力、心でないと不可能ではないか。そのために、お互いに助け合う市民意識と、1人ひとりが街づくりに立ちあがることが大切ですね。そうだね、ワトソン君!!と聞くと、「そうですね、カメラをつければ安全だなんて、人は動物ではないですよ!!」。
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