大遊泳時代
<大遊泳時代>第16回 社歌、校歌と着メロ
2004/04/19 16:18
週刊BCN 2004年04月19日vol.1036掲載
松下電器産業 役員
最近、社歌の話題が多い。社是が「おもしろおかしく」という堀場製作所が、ポップ調の「歌って踊れる社歌」にアレンジした。建築解体業の日本ブレイク工業の社歌は、パンクロック調にまとめたが、「2ちゃんねる」の応援もあってCD発売したところオリコンで上位となった。日経産業新聞「松下の中村改革」の本では、モーター子会社の武生松下電器が閉鎖され、その現場の幹部いわく「毎日歌い続けた社歌はもう歌えない」。新潮文庫「転職徒然草」の本では、転職しようとする社員が、朝会の社歌を斉唱するたびに、気持ちが萎えてとうとう上司に退社を切り出せなくなったという。社歌とは一体なにものか。甲子園の高校野球で校歌を聞くと、よくもまあ似たメロディーと歌詞が多いのに気づくが、社歌はメロディーも歌詞も各社バラバラである。何故ならやはり創業の志、事業の内容が違うからである。いずれにせよ、校歌、社歌は、歌うものに帰属意識を喚起させる。かといって、頭に焼き付いてないから、久方振りの同窓会、OB会に行っても校歌、社歌を堂々と朗詠する人は少ない。最近は、フレックスで集合時間がバラバラ、派遣、フリーターの増加で社歌の教育など間に合わない。ましてや海外社員には日本語は無理である。
そこで、私案で恐縮だが、各学校で生徒に携帯電話を許可する代わりに、着メロに校歌を入れたり、夕方帰宅推奨時刻に、昔よくきいた「鐘のなる丘」ではないが、校歌を一斉同報すれば不良の心配も減るのではないか。会社でも、パソコンの起動時に社歌が出てくるようにしてはどうか。なんなら、朝夕職場で歌いたければ、パソコンでカラオケを流しても面白い。ワトソン君、「君が代といっしょにするつもりはないが、社歌、校歌を大事したいね」。「でも、携帯やパソコンでユビキタスに出てきたら値打ちが下がってしまいますよ!」
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