“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦
<“一技の長”を探る>50.大塚商会(上)
2004/04/19 20:43
週刊BCN 2004年04月19日vol.1036掲載
情報系と基幹系を融合し成長狙う
大塚商会の石井ふみ子・マーケティング本部SMILE推進課課長は、「2年ほど前は、商談での競合数はせいぜい3社程度だったが、今は10社に達することもある。最近の商談で競合が5社以下ということはない」と、競争の厳しさを話す。顧客先に出向くと、財務会計や人事給与システムなどの“○×方式”の機能一覧表を作成してあることが多く、多数の競合ERP製品と単純な“機能数=価格”の図式で比較され、値切られることも多い。機能数でSMILEαADシリーズが他社製品に劣ることはほとんどないものの“同じ機能ならばより安く”と、やはり値下げ圧力は強い。
こうした逆風とも言える状況のなかで、一転して、今年1月からSMILEαADシリーズ関連ビジネスは、前年同期比で販売本数、販売金額ともに10%以上の伸びを示し始めた。その要因には、顧客企業のIT投資が回復基調にあることに加え、売り方を抜本的に見直したのが大きく影響している。
今年2月から「IT総合提案プロジェクト」を発足。このプロジェクトが推進役となり、ERPを前面に出した提案を改め、企業ポータルや文書管理、電子承認システムなど大塚商会オリジナルの情報系システムを切り口とした提案に切り替えた。商談に使うパンフレットもERP中心型からオリジナル情報系とERPを融合させた内容につくりなおした。
情報系と基幹系(ERP)を融合させることで、大塚商会の強みを前面に押し出し、同事業の成長路線への転換に成功した。今では、大塚商会がオフィス用品などを販売する通販の「たのめーる」に発注した情報と、SMILEαADシリーズとの連携も進めることで“たのめーるユーザーに最適なERP”との提案も進めている。
IT総合提案プロジェクトを大胆に推し進めるうえで、景気の好転も重要な要素となった。「IT投資マインドが冷え込んでいたときは、SMILEαADシリーズの前年比維持で精一杯だったが、景気好転の兆しが見えてきたことで、思い切ったプロジェクトを立ち上げる機運が高まった」(石井課長)と、市場動向もプロジェクト成功への重要な要素だと話す。(安藤章司)
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