視点

「ブログ」の潜在力

2004/04/05 16:41

週刊BCN 2004年04月05日vol.1034掲載

 手軽に情報発信ができる新しいタイプのウェブサイト「blog(ブログ)」が、にわかに注目を集めている。ネット先進国の韓国では、すでに空前のブームにあり、日本でも大手ISPが相次ぎサービスに乗り出している。ニフティでは昨年12月、「ココログ」の名称でサービスを開始。今年3月中旬までのわずか3か月半余りで、サービスの登録件数2万2000件、ブログの開設件数1万9000件を得るに至った。ニフティとほぼ同時期にNTTデータ、ライブドアなどもサービスを始め、3月22日にはNECの「ビッグローブ」でも提供が開始された。その多くは会員向けの無料サービスだ。

 ブログの魅力は、何と言ってもその“手軽さ”にあるようだ。これまでホームページで情報発信するには、少なくとも「HTML」などを覚える必要があった。これに対しブログは、ISPが提供する多数のフォーマットを利用して自分だけのサイトを構築し、ブラウザでコメントや写真などを投稿・保存するだけで、即時にサイトを更新することができる。従来のホームページの場合、HTMLの更新が面倒でサイトが“硬直”するケースもあったが、ブログは携帯電話からの更新なども受け付ける工夫がなされており、文字通りブログの語源「WebLog(ウェブログ=ウェブ上の記録、日記などの意)」を具現化している。

 もっとも、こうした特徴を捉えてみると、ブログは単なる個人情報のはけ口にしか見えないが、にもかかわらずブログが注目を浴びるのは「トラックバック(逆リンク)」という機能を備えている点が大きい。Aというブログにコメントしたくてリンクを張ろうとした際、コメントした側のBのブログサイトにAへのリンクを設ける必要はなく、Aに対しコメントするだけで、AのブログサイトにBへのリンクメッセージを自動的に残すことができる。例えば、小泉首相がブログを開設したとすれば、そのブログに投稿することで小泉首相ページに自分のコメントを残し、同時に自分のブログへ自動リンクが張られる仕組みだ。

 従来の「ネット掲示板」は管理者の存在を必要としたが、ブログは「トラックバックの掛け合い」(ニフティ)に妙味があるという。すでに、この仕組みをイントラネットでの情報共有に活用したり、営業担当者の個人情報発信に利用しようという企業も出ている。ブログのビジネス用途への適用は、工夫次第で限りない可能性がありそうに思える。
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