“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>48.アクション・システムズ

2004/04/05 16:18

週刊BCN 2004年04月05日vol.1034掲載

 アクション・システムズ(河村正史社長)は、CTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション)を切り口とした業務改革提案をベースに、売上高ベースで年率40-50%増の成長を続けている。同社は、高価なCTI交換機を使わず、ソフトウェアの機能を絞り込んだうえで、中小企業向けに最小構成30万円ほどの価格でCTIを導入できる仕組みをつくった。

CTIで成長、中小企業の事業拡大に貢献

 とりわけ、小売業やサービス業など、多数の顧客対応が必要な業種では、顧客管理機能を持つCTI導入の効果は高い。顧客から電話がかかってきた際、電話番号をもとに購買履歴や顧客属性をパソコンの画面上に表示することで、電話対応の品質が飛躍的に高まるからだ。同社では、顧客満足度や売り上げ拡大に結びつきやすいCTIに着目し、2002年9月、「コールナビ」の商品名でオリジナルのCTIシステムを開発した。

 価格が安いということもあり、CTI導入の商談は、月商100万円の中小通販事業者や、IT投資予算が1店舗あたり30万円程度の寿司の宅配事業者など、製品化から1年半あまりで納入件数は7件。受注額は少ないものの、同社が業務改革のコンサルティングに入り、CTIの有効活用やECサイトの拡充などに取り組んだ結果、顧客企業の売り上げは軒並み成長を始めた。

「ある化粧品通販事業者の場合、導入から約1年で月間の売り上げが10倍の5000万円に拡大。CTIをベースにした顧客管理を強化したことで、潜在需要の引き出しに成功した」(河村社長)とCTI導入の効果の大きさを語る。

 実は、同社の本当のビジネスは“顧客企業の成長”の時点から始まる。顧客の事業が拡大基調に乗ってきたタイミングで、CTIのオプション機能や拡張機能の提案し、さらに一歩進んだ業務改革を推進する。「月商が10倍に拡大した通販事業者は、現時点までで累計1000万円近いIT投資を決断した」(同)という。同社は、コールナビの拡張機能として、受発注システムや、電子メール・ECサイトとの連携など幅広く品揃えしている。

 アクション・システムズの成長には、何よりも顧客企業の上昇志向・事業拡大に対する意識の高さが必要。「商談してみて、実際に業務改革型のシステム構築に乗り出す確率は5社中1社にすぎない。伸びると手応えを感じたところだけに、当社の経営資源を投入し、顧客のビジネスを成功に導く」と、成長株を見つけ、伸ばしていくことに注力している。(安藤章司)
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