変革セキュリティビジネス
<変革セキュリティビジネス>14.リコーテクノシステムズ
2004/04/05 20:43
週刊BCN 2004年04月05日vol.1034掲載
外部アタック対策に絞る
約1年前、「ITシェリフ」のブランド名で、ウイルス対策やファイアウォール機能を提供するサービスメニューを作成した。プライバシーマークの取得支援コンサルティングサービスや、内部情報漏洩対策製品も手がけているが、これらは「ITシェリフ」のサービスメニューには、あえて加えていない。幅広いセキュリティ分野のなかでも、「ITシェリフ」は外部アタック対策サービスだけに特化している。山形起生・NI事業部NI技術企画部IT-Sheriffグループリーダーは、「中小企業のユーザーは、アンチウイルスソフトの導入など、基本的な外部アタック製品の活用がまだまだ進んでいない」と現状を把握。「さまざまなジャンルのセキュリティ製品・サービスを盛り込んだサービスブランドよりも、基本的なセキュリティ対策サービスのみでメニュー化した方が中小企業には分かりやすい」と、「ITシェリフ」が外部アタック対策製品に限られている理由を話す。
「ITシェリフ」は、ユーザー企業へのシステム販売だけではなく、あくまでサービスに重点を置く。機器の故障や、ファームウェアのアップデートなど、ユーザーのシステムを監視センターで常時監視し、リモートでメンテナンス作業を行う。さらに、月間の監視結果もユーザーにレポートする。
必要なハードウェア・ソフトウェアはリース形式で、費用は月額単位に設定。価格もパソコン10台までの構成なら月額約1万円と低価格。山形グループリーダーは、「システム管理者を置いていないユーザーをターゲットにしているだけに、顧客からは運用・保守まで面倒みてもらいたいという要望が非常に多い」と、中小企業を意識したサービスの作成に主眼を置く。また、月額課金のビジネスモデルは、小額でも安定的な収益を確保できるメリットもある。最近では、中小企業のほか、大企業の支社・支店でも導入するケースがある。
これまで大企業では、本社と支社・支店間は専用線を用いてネットワーク化することが多かった。だが、通信コスト削減でVPN(仮想私設網)を用いたネットワーク化が進んできたことにより、支社・支店のゲートウェイにも外部アタック対策を施す必要性が高まっている。こうした状況を背景に、これまでの中小企業ユーザーを中心とした事業展開に加え、大企業の支社・支店レベルの小規模事業者も明確にターゲットに入れ始めた。(木村剛士)
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