IT Stock Frontline
ヤフー時価総額増大
2004/04/05 16:04
週刊BCN 2004年04月05日vol.1034掲載
成長力に評価高まる
東証1部10位ランクイン
ヤフーの時価総額が膨らんでいる。3月26日の時価総額は4兆4100億円に達し、東証1部で初めて10位にランクインした。これは武田薬品、ソニー、松下電器産業といった巨大企業を上回る。インターネット企業が産業界において重要な位置を占めてきたことを象徴するものとして注目される。時価総額は発行済株式数に株価をかけたもので、企業の価値を示す指標。例えば株式交換という手法を使ってM&A(企業買収・合併)を行う場合は時価総額が大きいほど有利に展開できる。経営者は時価総額の極大化を目標の1つにしている。東証1部の時価総額トップはトヨタ自動車で13兆円台、NTTドコモが11兆円台でそれに続く。ヤフーの時価総額は2002年末はわずか6900億円だった。増加に弾みがついたのは昨年10月にジャスダック市場を離れ東証1部に上場してから。ジャスダック銘柄への投資に制限を設けている機関投資家が新たにファンドに組み入れるなど、投資家層の広がりが株価形成にプラスに働いた。また、個人投資家などが保有している株式の比率(浮動株比率)が8%台と他の企業に比べて低く、株式の品薄状態が高株価の背景にあるとの指摘もある。
しかし、成長力が株価を押し上げた最大の要因であるのは間違いない。04年3月期は売上高が前期比26%増、経常利益は同69%増と大幅な増収増益になった模様。投資家は、成熟した大企業(ソニー、松下電器)よりも成長企業(ヤフー)に高い評価を与えているということだろう。
東京株式市場は活況が続いている。地価の下げ止まりなどを背景に、デフレ脱却を先取りする展開に。人気の中心は銀行、不動産、建設など内需セクター。つまりバブル崩壊後、痛めつけられていた企業が息を吹き返している。これに対して、ハイテク株は米国株式の停滞や円高などを嫌気して人気の圏外に置かれていた。しかし、内需セクター人気の過熱や米国株の底入れの動きを背景にようやく浮上の動きになってきた。(有賀勝久)
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