“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>45.全日空システム企画

2004/03/15 20:43

週刊BCN 2004年03月15日vol.1031掲載

 全日空システム企画(藤田幹太社長)は、1998年度から今年度(04年3月期)までの6年間で、グループ外に向けた情報システムの売上高(外販比率)を全体の約5%に相当する約10億円に引き上げた。97年度の外販比率はゼロに近かった。

外販ビジネスの拡充を急ぐ

 外販比率拡大の原動力となったのは、オラクルE-ビジネススイート(オラクルEBS)の販売である。外販部門の立ち上げ当初から同ビジネスに関わる永島証・eソリューション部長は、「もともと、オラクル製データベースの技術者が社内にいたことや、グループ企業向けの会計・人事システムなど基幹系システムのノウハウがあった」と語り、オラクルEBSの立ち上げが順調に進んだという。オラクルEBS対応の人事給与管理システム「eZ-HR」も開発した。

 03年7月、外販部門を再編し、オラクルEBS、eラーニング、課金システムなどの商材を担当する人員を集約した「eソリューション部」を創設した。98年の外販部門の立ち上げ当時はわずか3人だったが、現在のeソリューション部は約50人にまで拡大した。

 続く03年10月からSAPのERP(統合基幹業務システム)の外販を始め、ERP分野の品揃えを拡充した。同パッケージは、親会社の全日本空輸(全日空)グループが00年度から開発・導入を進め、03年4月までにグループ企業約30社で稼働している。これまではグループ企業向けの展開で手一杯だったが、SAP導入の実績を基盤として、今後はSAPについてもグループ外への販売に力を入れる。

 また、ここ数年、航空券をウェブで予約するシステムなど、情報システムのオープン化にも力を入れた。このため、プラットフォーム別で見ても、従来のメインフレームに加えて、UNIXやJ2EEといったオープン系システムまで幅広い構築実績を持つ。グループ向けの実績が多いものの、今後、こうしたノウハウを外販に応用することも十分に可能だ。

 今年度のeソリューション部における1人あたりの売上高は約2000万円だが、オラクルやSAP、ウェブ系オープンシステムの構築ノウハウを外販にも生かしていくことで、ここ数年のうちに1人あたり売上高3000万円を目指す。外販に従事する要員が変わらないとすれば、部門全体の売上高では約15億円となる。「外販ビジネスで経営の一角を担うまで成長するには、生産性の向上が不可欠」と、事業拡大に意欲を示す。(安藤章司)
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