立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>28.RNの新しい展開─TCカウンシル

2004/03/15 16:18

週刊BCN 2004年03月15日vol.1031掲載

 ロゼッタネット(RN)では2004年3月、業界ごとに設定された6つのカウンシルを設置した。業界横断的に設置されているロジスティックカウンシル、SP(ソリューションプロバイダ)カウンシルを除く4つのカウンシルが、ロゼッタネットが標準導入のターゲットとしている業界といえる。TC(テレコミュニケーション:電気通信)カウンシルは、これらの業界のうち最も新しく設置されたカウンシルで、サプライチェーン的には、EC(電子部品)業界の下流、IT(情報機器)業界と並行する位置付けになる。TCカウンシルには、ヨーロッパに拠点を置く企業を中心に、機器メーカー(サプライヤー)としてノキア、シーメンス、モトローラ、エリクソン、シスコシステムズ、電話会社としてAT&T、ブリティッシュテレコム、ドイツテレコムなどが参加している。

 TCカウンシルにおいて、ロゼッタネット標準実装のターゲットとしているのは、「Order-to-Cash」と「Contact Management」という2つのビジネスプロセスである。前者はエリクソンが主導するプロジェクトで、電話会社から機器メーカーへの発注から支払いに至る一連のプロセスを共通化、特に交換する情報のフォーマットを統一することでコスト削減を狙うものである。後者はシスコが主導するプロジェクトであり、機器メーカーとエンドユーザー、代理店、物流業者が機器の保守情報を共有化することで、故障時の修理対応、代替品の納入プロセスを合理化し、誤配送の削減やデリバリータイムの短縮を狙っている。また、最近ではドイツテレコムを中心に、電話会社用のカタログ情報の整備が提案されている。

 筆者は、03年10月(中国・上海)、04年2月(米国・サンタクララ)の会議にロゼッタネットジャパンの代表としてTCカウンシル会議に参加してきたが、回を追うごとに出席者も増え、電気通信業界におけるロゼッタネット標準の実装が現実化してきたという印象を受けている。欧米と日本の業界構造の違いから、直ちに日本においても同様の事例が適用できるとは思えないが、TCカウンシルの参加企業が、欧米における電気通信事業だけでなく、急成長を続ける中国の携帯電話市場をターゲットにしていることは疑いがなく、その意味からもTCカウンシルの動向は引き続き注目していく必要があると考えている。(NTTコミュニケーションズ ロゼッタネットジャパン 伊坂広明)

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