視点

CRMと効果測定の基準

2004/03/08 16:41

週刊BCN 2004年03月08日vol.1030掲載

 2003年11月にサンフランシスコで開かれたCRMサミットに参加した。そこでたびたび話題になったのは、CRM(顧客情報管理)というコンセプトが言われてからずい分と年月が経つにもかかわらず経営者側の評価がいまひとつの会社もあるのは、CRMの効果を測定するメトリックス(基準)が確立されていないためではないかということであった。CRMの成果を関係者全員に納得させるためには、できるだけ客観的なメトリックスが導入されることが重要なことは言うまでもないが、なかには計量化がなかなか難しい項目もある。

 その場合でも、計量化できそうな項目は極力代理変数を探してでも計量化に努めることが、会社員の協力を得てCRMを成功させる秘訣ということができる。以下に今回のCRMサミットで発表されたCRMの効果測定のためのメトリックスの1例について紹介してみよう。その1つは、Balanced Scorecard Collaborative Inc. がBalanced Score Cardの概念をベースに作成した基準である。

①財務の視点(当社のCRMシステムは全社売上を25%以上アップさせたか。新規顧客を10%以上獲得することに成功したか)

②顧客の視点(当社のCRMは顧客満足度を90%にまで高めることに成功したか。顧客の家計に占める当社の比率は50%以上か。主要顧客階層毎に25%以上の業界シェアを獲得できたか)

③内部管理の視点(顧客当たり2.5以上の商品のクロスセルに成功したか。主要顧客には1四半期当たり1時間以上接触して商品のセールスを行なったか)

④学習と成長の視点(フィナンシャル・プランナーは100%公的資格認定を取得し、顧客との良好な関係の維持ができているか。顧客情報はバラバラでなく完全に一元化され、いわゆる「a Single View of Customer」ができるようになっているか。顧客の各種資産の最適な組み合わせや組み替え提案──ポートフォリオ・マネジメントができるだけの知識とスキルを100%具備しているか。Balanced Score Card によって設定された項目別目標を100%達成しているか。従業員の高い志気を鼓舞するための誰もが納得する公平な人事評価と報酬制度が100%整備されているか)
  • 1