企業のIT調達モデルを変える デルの挑戦と死角
<企業のIT調達モデルを変える デルの挑戦と死角>10.デルを支える裏方の経営改革
2004/03/08 20:43
週刊BCN 2004年03月08日vol.1030掲載
OFEはオムロンが製造・販売する銀行のATMや鉄道の自動改札機、交通制御システムの保守を手掛けてきたが、90年代初めから顧客側の業界再編や合理化、業界内の競争激化から抜本的な経営改革を迫られるようになった。そこで徹底的にCS(顧客満足度)にこだわった。「修理技術に対する顧客の評価は高かったが、速度と進捗管理への満足度が低かった」(諏訪常務)。そこで、90年代中盤からCSを向上させる仕組みをITで実現していった。同時に弱かったIT保守を強化するためデルとの提携にも踏み切る。
現在では、バラバラだった受付窓口を新設のコールセンターに集約。iモードや地図情報システムなどを駆使して、作業員がどこでどのような案件を手掛け、あと何分程度で作業が終了するか、リアルタイムに見えるようにした。効率的で迅速な人員配置が可能になったのだ。そして、この進捗情報は社内の管理者のみならず、デルのような顧客側にも公開され、顧客との結び付きを強めている。
本来なら、グループ内に強力なシステム開発部隊を持つ国産コンピュータメーカーの保守子会社が率先して、このような先進的な仕組みを導入していてもおかしくないが、実態としては常にOFEの後追いのようだ。ちなみにOFEは03年度、オムロン製品以外のサードパーティ保守の比率が47%に達し、04年度には確実に50%を上回るという。この連載の最初の頃にも述べたが、デルが保守サービスで高い評価を得ている要因の1つは、馴れ合いを廃して外部にアウトソーシングしているからだ。そして、良き“パートナー”に恵まれたことが大きかった。
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