大遊泳時代
<大遊泳時代>第9回 スポーツとIT
2004/03/01 16:18
週刊BCN 2004年03月01日vol.1029掲載
松下電器産業 役員
「えべっさん」の総本社西宮戎では、毎年1月10日、足に自信ある者が開門から本殿までの200mを競う開門神事がある。今年はなんと2000人参加したが、優勝の男性の出走時、同僚達の走行妨害がばっちりTVに流れ、メールで800件の抗議が殺到。折角の一番福を返上した。聞けばスポーツの世界では先輩後輩のタテ序列は崩れ、アマ、プロのフュージョン化で金銭感覚も鈍く、加えてクーベルタン以来のスポーツマンシップの教育も薄れたせいか──ルール違反、不祥事が続発。しかもかなり悪質なものが多く、本人にも罪の意識が薄いという。私の好きな陸上競技でも、エントリーした人と出走者が異なる替え玉事件、ライバルを味方の同僚がブロックする走行妨害、全国的に有名な駅伝でも道路上に距離情報をペインティングする道交法違反も出ている。おまけに、競技の始めと終わりに審判への一礼もしない人が増えた。アマの世界では、もはやボランティア・教育者としての審判や運営はやってられない。
スポーツはする人、見る人、司る人、運営する人、応援する人、伝える人の協力で成りたつ。ちょうど商業五輪の始まりともいわれるロス五輪より、人海戦術、奉仕精神の運営も、大きく機械化、電子化されたと思う。最近はみる人に快適なスタンド、する人によい記録がでるハイテク装置、運営審判に、省力化、精度向上、まさにAV、IT技術の貢献大である。
ここまではよいとして、これからはAV、IT技術やバイオ、感性工学を駆使して、ルール違反、不正を厳しく防止することができないだろうか。選手1人ひとりにICタグのピアスを埋めこんでもよい。替え玉もいなくなるだろう。大画面でプレーを大写し実況すれば、不正もやってられないだろう。ワトソン君どう思う!!「いやー。あまりやりすぎると審判のなり手がなくなりますが、ロボットでつとまりますか?」
- 1