テイクオフe-Japan戦略II IT実感社会への道標
<テイクオフe-Japan戦略II>29.加速化パッケージ
2004/02/23 16:18
週刊BCN 2004年02月23日vol.1028掲載
問題を洗い出し実行へ
まず「評価」では、3月末までに評価専門調査会の中間報告を取りまとめるとしたが、これまでの議論を踏まえて「個の視点に立った成果重視の観点で評価する」との基本方針を明確化。Plan-Do-Check-ActionのPDCAサイクルをe-Japan戦略のなかに定着させていく。こうした「IT利活用」の評価視点から施策をみると、やはり重要なのは「IT規制改革の推進」と「電子政府・電子自治体の推進」の2つだ。IT規制改革では、日本経団連など経済界から強い要望が出されていた文書・帳票類の電子保存について、これを可能にする「e-文書法」の制定を正式決定。今年6月をメドに報告書をまとめ、早ければ今秋の臨時国会にも法案が提出される可能性が出てきた。さらに近く実証実験もスタートする予定の電子的な手段による債権譲渡(電子手形サービス等)を推進するための制度の見直しについても、今年中に結論を得たい考えだ。電子政府・電子自治体のなかで注目されるのは、12月の素案の段階では入っていなかった「輸出入・港湾手続きのワンストップ化」が追加された点。「文書・帳票の電子保存と並んで経済界からの要望が強かった」(安藤参事官)ことからも、利活用の促進に向けて抜本的な見直しが進められることになりそうだ。BCNの紙面で以前に紹介したように、輸出入・港湾手続きのワンストップ化はすでに既存システムを連携して実現された形になったが、ローマ字入力にしか対応していないシステムが残されているなど使い勝手の面で問題も指摘されていた。手続きも基本的には紙時代のものを電子に置き換えて「手続きの簡素化」までは踏み込めていない。加速化パッケージには「信頼度が高くかつ運用コストの低廉な新しいシステムの構築」が盛り込まれ、先のCIO(各府省情報化統括責任者)連絡会議で決まった役割分担で今後は財務省が中心になってシステムの再構築が進められる。
ITの利活用には不可欠な「セキュリティ政策」も一気に加速化される。これまで内閣官房には情報セキュリティ専門調査会が設置されて活動を行ってきたが、スタッフが9人と他の先進国に比べて大きく見劣りしていたのが実情。今年4月までに内閣官房に情報セキュリティ補佐官(仮称)を設置して民間専門家を起用することにしたほか、人員増強についても検討、内閣官房を中心に政府のセキュリティ機能が大幅に強化される見通しだ。ネットワーク社会における本人性を証明する仕組みはこれまで住民基本台帳(住基)カードや公的個人認証サービスが整備されてきたが、9.11テロ事件を機に国際的にも導入の動きが活発化しているパスポートのIC化や、国家公務員身分証明書のICカード化、医師、弁護士などの電子証明が新たに盛り込まれ、セキュリティ基盤の強化が図られることになった。
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