テイクオフe-Japan戦略II IT実感社会への道標
<テイクオフe-Japan戦略II>28.電子納付
2004/02/16 16:18
週刊BCN 2004年02月16日vol.1027掲載
収納業務などの効率化へ
マルチペイメントネットワークは、公共料金、税金などの収納を行う収納企業・官公庁・地方自治体と金融機関を結ぶネットワーク基盤として、2000年5月に設立された日本マルチペイメントネットワーク推進協議会(JAMPA)が検討を進めてきた。01年10月からNTTドコモやみずほ銀行など一部の民間企業が個別に運用を開始し、国庫金の取扱開始とともに、利用可能な金融機関が一気に1200以上に拡大。本格普及の環境が整った。ペイジー収納サービスは、マルチペイメントネットワークと接続した金融機関のインターネットバンキングを使える環境があれば、簡単に利用できる。郵送された請求書で納付する場合、まずインターネットバンキングに接続し、顧客番号などを入力して収納機関に照会。画面上に請求データを呼び出して内容を確認後支払いボタンをクリックするだけで支払いが完了する。
「支払いデータと消し込みデータを連動できるようにしたのがポイント」(菱沼昇理事・JAMPA事務局長)。以前の収納業務では、利用者から金融機関に代金が納付されたあと、金融機関から消し込みデータを確実に収納機関に送る必要がある。このデータは紙で行われていたので、手作業が必要であり、作業者のミスで支払いデータが間違って処理されるケースも少なくない。
ペイジーでは、利用者が請求データを収納機関のデータベースに照会した時に、一緒に消し込みデータが送付されてくる。利用者は確認して支払いボタンをクリックするだけで、入力ミスのない支払いデータと消し込みデータがセットで収納機関に送付され、それを使って簡単に確実な消し込みが可能となる。さらに窓口収納が多い国庫金や地方公金で電子納付が増えれば金融機関にとって大幅な効率化も期待できる。
全国地方銀行協会では、今年1月に会員行が地方自治体の指定金融機関として受託している地方公金の収納・支払い業務のあり方に関する意見書を取りまとめて公表した。これまで地方公金の収納・支払い業務コストなどは、資金取引によって収益が得られることを前提に地銀側が負担。その額は全体で1000億円を超えているものの、近年、資金取引の方は入札で金融機関を決めるケースが増えている。地方税の収納では、新たにコンビニエンスストアなどの活用も始まったが、コンビニに対しては日本郵政公社と同様に手数料支払いが行われており、条件に格差が生じている。
問題提起の狙いには、地方自治体との間で適切なコスト分担を図っていくと同時に、特に手作業が多く負担が大きな地方公金収納につき電子納付による事務の効率化でコスト低減を実現することがある。電子申請や電子入札などの導入には積極的な地方自治体も、収納業務は金融機関任せで自らの負担が小さいために取り組みが後回しになりがちとの指摘もある。「今後、電子自治体向けの財務会計システムの更改の過程で、積極的に電子収納の機能が組み込まれるようになれば…」(木川康晴・地銀協業務部公務室室長)と、ITベンダーによる地方自治体への働きかけにも期待している。
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