変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>7.ジェイエムシー

2004/02/16 20:43

週刊BCN 2004年02月16日vol.1027掲載

 2000年、香月誠一社長が「トータルセキュリティソリューションプロバイダ(TSSP)」を掲げ、セキュリティ市場に参入したジェイエムシー(JMC)。1975年に創業し、NECの販売代理店としてマイクロコンピュータやパソコンなどのハードウェア販売をメイン事業にしていたJMCにとって、新たな事業領域への進出となった。

認証取得支援サービスを中核に

 セキュリティ事業への参入について香月社長は、「ハードウェアの急激な単価下落の影響で収益確保が難しくなってきて、ビジネスモデルの転換が迫られていた」ことを最大の理由に挙げる。そして「ネットワーク化が進むなか、セキュリティは伸びる分野として大きな可能性を秘めていた」と話す。市場参入当時は、悪質なプログラムを作るクラッカーのノウハウを持った人材を社内に2人育てて、企業ネットワークの脆弱性を診断するというサービスから始めた。

 現在では、「コンサルティング」、「システム構築」、「サービス」の3つのビジネスモデルを設定。同社の主軸ビジネスへと成長しつつある。成長途中にあるセキュリティ事業を、「さらに拡大するために、JMCにしかない強みをどのように生かすか」(香月社長)を模索し、「認証取得支援サービス事業のナンバーワンベンダー」(同)という新たな目標を掲げて、2月から新たなビジネスプランを打ち出した。

 JMCは02年8月に、セキュリティの認証資格「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度」と、英国規格「BS7799」を同時取得した。これをきっかけに、セキュリティに関する認証の取得支援コンサルティング事業を開始している。それ以前も、99年に品質保証マネジメントシステム「ISO9001」と環境マネジメントシステム「ISO14001」の認定資格を同時取得したことで、セキュリティ分野以外で認証取得支援事業を手がけていた実績がある。特にセキュリティに関する認証資格支援事業は、今後大きな需要が見込めると捉えており、これまでのノウハウを生かせる分野として力を入れていく。

 具体的には、これまで顧客に個別で対応してきた事業体制を見直す。取得したい企業の担当者を集め、研修会のようにして複数の顧客に向かって同時にコンサルティングを手がけていくという。講義を行う会場の確保などで、すでに企業のリスクマネジメントに関するコンサルティング事業を手がける損保ジャパン・リスクマネジメント(澤田裕社長)と提携して体制を整え、2月から新体制でサービスを開始した。 「一度に複数の企業に向かってコンサルが提供できることで効率化が図れる。それとともに、これまでよりも安価にサービスを提供でき、中小企業にも顧客層を広げることができる」と、そのメリットを香月社長は話す。 (木村剛士)
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