視点
変革迫る多くの波が襲う
2004/02/02 16:41
週刊BCN 2004年02月02日vol.1025掲載
第3が基盤技術発展によって市場が拡大する、ITのインストレーション期が終焉に向かい、利用環境の円熟化を求めるポピュラライゼーション期へのターニングポイントで起きる大波だ。これによってIT競争も高速・大型コンピュータ開発から、安定し使いやすいITとビジネス一体化を競う状態へ変わった。現在ITで起きているターニングは、過去に鉄道や自動車なども経験した。
第4は、AVがデジタル化に向かい、ハイテク産業の業界構造・商品の垣根が崩れてしまうデジタルコンバージェンスの波だ。この動きは、アナログ通話器であった携帯電話が、ネット端末になったことがはしりで、すべてのAVがデジタル化の波に飲み込まれた。これによって新しいデジタルAV機器が次々と誕生し、急速に市場を拡大している。従ってデジタルAVはITに代わって、インストレーション期に突入したと考えてもよいだろう。
川上の業界で起きたデジタルコンバージェンスは、社会生活や消費サイドへはユビキタスコンピューティングとして波及してきた。これらの波は相互作用をもつが、その力の大きさや向きは時代とともに激しく変わる。従って、これら相互作用がハイテク全体に、どのように影響するのか予測は難しい。さらに、IT業界はこれまで、いつまでも高成長が続くことを想定してきた。
しかし、これらは今回のITバブル崩壊とこれに続いた長いIT不況で「神話」であることを経験した。それでも、IT業界がターニングポイントにあって成熟期に向っていることは、多くのITベンダーには受け入れられていない。従って、まだ従来戦略で成長を願うベンダーも多い。しかし、これは「匹夫の勇」である公算も高い。どんな産業にも、いつまでも同じ形で市場右肩上がりが続いたという歴史は見当らない。企業も業界も柔軟に変化することを迫られている。
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