企業のIT調達モデルを変える デルの挑戦と死角

<企業のIT調達モデルを変える デルの挑戦と死角>5.企業のパソコン調達を変えるCFI(2)

2004/02/02 20:43

週刊BCN 2004年02月02日vol.1025掲載

 前号では、デルの法人向けパソコン分野での強みとして、有償サービス「CFI(カスタム・ファクトリー・インテグレーション)」の存在を取り上げた。ユーザーが指定したソフトや各種設定を出荷前の製品に組み込み、ユーザーに届けるサービス。しかも、2週間程度の一定納期で日本全国の指定した場所に配送してくれる。ユーザーはパソコンが必要になった時、必要な台数だけデルに発注すれば、労せずパソコンを社内に配備できる。事業拠点が全国に分散しながら、情報システム部門や購買部門を本社に集約している企業に適している。考えてみると、CFIはデルのサプライチェーンにユーザーをシームレスに組み込むものだ。(坂口正憲(ジャーナリスト))

 デルは合理的にシステム化された生産体制のもと部品を調達、製品を組み立て出荷する。しかし、その先はユーザーの担当者が手作業でソフトをインストール、設定を施して、実際に利用する社員のもとに届けている。CFIはこのユーザー側の工程もデルの生産工程に組み込み、効率化する。ユーザー側から見ればアウトソーシング。究極のサプライチェーンが完結する。CFIが支持される背景には、間接業務をなるべく効率化していこうとする経営トレンドがある。パソコンの調達・保守のような間接業務はなるべく自動化し、少ない労力で済ませたい。もう1つCFIで見逃せないのは、“社内パソコンの標準化”という動きと結び付いている点だ。

 多くの企業では通常、何社ものベンダーから製品を調達し、保守している。情報システム部が一括調達したり、事業部門が独自判断で購入したり、購入経路もバラバラとなっている。そのためベンダー1社当たりの調達ボリュームがまとまらず、価格交渉で不利になる。社内に配備した後の保守作業も煩雑で、トータルコストを引き上げる。

 そこで企業では今、調達する製品を全社的に標準化する動きが目立ってきた。全社で使用するパソコンをデスクトップ1機種、ノート1機種など最低限に絞り、調達・保守の窓口を一本化する。そして、社内のパソコンをデル製品に標準化した上でCFIを利用すれば、調達・保守は大きく効率化できる可能性がある。これに気づく企業が増えている。
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