視点

ソフト関連図書と文化

2004/01/26 16:41

週刊BCN 2004年01月26日vol.1024掲載

 パソコンソフトは、流通初期には、どうしても発祥地の文化を引きずるものだ。BASICというプログラミング言語は、発祥が米国だったが、いまでは日本の利用者のほうが発祥地よりはるかに上手に使いこなしているようだ。次の日本発のテキストがその例だ。勉強が高校卒業まで嫌いだった学生を虜にするだけの魅力に満ちている。

 パソコンソフトは、流通初期には、どうしても発祥地の文化を引きずるものだ。BASICというプログラミング言語は、発祥が米国だったが、いまでは日本の利用者のほうが発祥地よりはるかに上手に使いこなしているようだ。次の日本発のテキストがその例だ。勉強が高校卒業まで嫌いだった学生を虜にするだけの魅力に満ちている。

『Excel/Basic基礎指南―知らないことを知りたい人へ』(森口繁一)

 わたしの講義・演習のなかで一番成功したテキストだ。自著より、断然学生に評判がよいのはとても残念である。このテキストは、かなり妖しいエクセルの統計計算などを無視して、アルゴリズムとプログラミングの基本を手際よく実例と演習で紹介しきっている。パソコンソフトの機能のうち、さわりの5%しか使ってないところがよい。厚さができそこないのマニュアルの数10分の1なのに、学生に本質を体得させてしまう。また発祥地をかなり離脱した分野に、パソコン使いこなしソフト分野がある。情報の専門家になる代表的図書には、以下がある。

『新パソコン入門』(石田晴久)情報畑出身ではない書き手によるものが、
『パソコンは買ったまま使うな!』(鐸木能光)『パソコンお助け塾』(深野暁雄)

 これらには、レジストリ手直しソフト「窓の手」をはじめ“ワード”不要のエディタ、“アウトルックエクスプレス”を無視するメールソフト、“エクスプローラ”拡張ソフト、などのフリーソフトが手際よく紹介されている。応用ソフト分野の次の図書は、『私のおすすめパソコンソフト』(岩波アクティブ新書)玉石混淆で、“パワーポイント”などを手放しで礼賛するのは敗戦直後の日本を想起させる。

 日本文化に根付いたかどうかは、(1)スモールイズビューティフルの志があって
(2)面白く、役に立って、夢中になれるかどうかにありそうだ。
 UNIXは発祥が米国、Linuxは北欧だが、米国経由の商用フリーソフトが出回っているせいか、まだ良いテキストがない。できそこない言語の代表例である米語を第二公用語としようと目論んで失笑を買った外国語分野でも、意外に良いテキストが少ないのも書き添えておこう。
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