大遊泳時代

<大遊泳時代>第4回 携帯のセキュリティとマナー

2004/01/26 16:18

週刊BCN 2004年01月26日vol.1024掲載

松下電器産業 役員

 東京・お台場のパナソニック・センターの未来ハウスを訪れると、玄関を開けるのに眼を近づけて本人確認するセキュリティがついている。いわゆる「虹彩認識」である。昔、観た007の映画がここまできたかと思う。最近、携帯画面を後ろから覗き見されないように、視野角をボタン1つで変えられる液晶フィルターが開発されたとのこと。携帯は放置すると、メールやデータを誰に見られるかわからない。私物ならプライバシー情報があるし、社用なら企業秘密も多いはず。

 一方、携帯は見せ合うツールとなり、本屋でのデジタル万引きに続いて、不道徳な画像撮りや配信に使われているらしい。いつの世にも1000人に1人は泥棒や、マナー破りがいるので、完璧主義では世の中渡れないが、誘惑に嵌めこんだり、ルール違反を助長する行為は、新しいツールだけに社会的に良くない。自由すぎると暴力になる。

 そこで、便利な携帯やPDA・DSCのIT機器には、個人情報保護機能と道徳マナーの確立が大切である。またまた、思いつきで恐縮だが、携帯に虹彩認識をつんで、マル秘はロックすると、あとは本人の眼が必要となれば面白いではないか。なんでもかんでも機能を積み込むことが良いことではないが、情報保護により著作権、プライバシー尊重の風土ができれば幸いである。

 その昔、車メーカーが安全運転キャンペーンをすすめ、その結果、運転マナーが向上し、交通事故が激減したと思う。勿論、車自体の性能向上、ITS(高度道路交通システム)化、信号インフラの充実もあるが。だから、IT業界もそろそろ「造って良し」、「売って良し」から、道徳的に「使って良し」の風土づくりを進めていってはどうか。そこで、ワトソン君にどうかと聞くと、虹彩認識は面白いが、コストがねぇーと? そしてマナーキャンペーンは技術以前のことですよーとの答えであった。
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