大遊泳時代
<大遊泳時代>第2回 社章とICカードの一体化
2004/01/12 16:18
週刊BCN 2004年01月12日vol.1022掲載
松下電器産業 役員 前川洋一郎
毎週の出勤入門時、社章を見せれば「おはよう」代わりでOKであったが、昨年秋、突然「ICカード」が導入され社章だけではガードマンが駄目と言う。ICカードは食事・買物・出張精算等、イントラネット・アクセスなどに便利だが、その代わり社章を付けない人が増えてきた。勿論、派遣社員の増加、服装のフリー化、人事の規制緩和など色々要因はあるものの、入社以来、社章を義務付けられ、社章を誇りとしてきた年代にはつくづく解せない事態である。では社章とは一体何なのか? 明治の初め軍隊の徽章、学校の校章に始まり、社章は盛んになってきたのである。社章の目的とするところは対内的には志、理念の旗印、一致団結、仲間の証文。対外的にはブランド、アイデンティティ、そしてセキュリティのIDがわりである。そして日本最初の徽章業発祥の地「飯田橋」界隈できくと、校章は減ったが社章はまだ多いと言う。特にベンチャーなどは作りたがるという。余談だが電力や銀行などは悪用を恐れて作らないし、最近はブランドと社章を一体化する所も増えてきたり、逆にアフター5の窮屈を嫌って付けない会社も多いとか。
ではICカード時代になると社章はいらないのか? いや、今日の多様化、バラバラの時代にこそいるのではないか。さらに、C・I→C・C→CSRでコンプライアンス、リスクマネジメント、企業倫理が大事な時、社章、社是を大事にして社員も派遣も1人ひとりの拠り所とすべきではないかとも思う。だからといってICカードを否定できない。その解決策として、社章にICタグを入れてはどうか。ワトソン君に聞くと、いやまだ無線能力に不十分なところあるとのこと。しかしユビキタスの時代、日本の技術者のことだから、きっと早晩、解決してくれ、IC社章ができるだろう。初夢に終わらせたくないものだ。
- 1