“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>36.富士通ビジネスシステム

2004/01/12 20:43

週刊BCN 2004年01月12日vol.1022掲載

 富士通ビジネスシステム(FJB、鈴木勲社長)の業務アプリケーション「ウェブASコンポーネント」の販売実績が急上昇してきた。

自社開発の業務システム好調

 2003年1月から本格的に販売を始めた「ウェブASコンポーネント」は、今年度(04年3月期)末までの受注見込みで160社に達し、このうち60社はすでに稼働を始めた。同業務アプリケーションは、.NETフレームワーク上で動作するコンポーネント(部品)を組み合わせ、顧客企業に最適なシステムを組み上げられるのが最大の特徴。このコンポーネント数は、昨年末までに累計300種類に拡大している。

 FJBは、システムインテグレータのなかで、最も早い段階で.NETフレームワーク基盤の採用を表明。全社プロジェクトとして積極的に開発に取り組んだ。同事業の売上高は、昨年11月末時点で29億円に到達し、今年度末には50億円を見込む。来年度(05年3月期)は100億円の売り上げに達する見通し。

 今後は、この強みを生かして、他のパッケージベンダーや、同業他社が持つ販売チャネルを活用することで、ウェブASコンポーネント事業の拡大を目指す。

 ウェブASコンポーネントは、業務システムのなかでも、販売管理や社内ポータル、勤怠管理、ワークフローなど、社員が日々の業務のなかで使う分野で威力を発揮する構造にした。そのため財務会計や人事給与など、基幹システム分野での品揃えは薄い。

 そこで、財務会計や人事給与などに特化したパッケージベンダーや、この分野に強いシステムインテグレータとの業務提携を積極的に進めることで、新規販売チャネルを開拓する。.NETフレームワークは、XMLによるアプリケーションソフト同士の連携だけでなく、他の業務システムと自由度の高い連携ができる特性がある。この点を活用することで、他システムとの統合的な構築が可能になるという。

 また、同業他社との連携も進める。「例えば、同じ富士通パートナーの顧客企業に、正面からの営業はしにくかった。ウェブASコンポーネントであれば、他の富士通パートナーに販売してもらうことで、これまで手が届かなかった顧客のところにも納入できるようになる」(藤本政久・マーケティング本部営業推進統括部ソリューション推進部長)と攻めの姿勢で臨む。(安藤章司)
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