大遊泳時代

<大遊泳時代>第1回 サルマネとNET家電

2004/01/05 16:18

週刊BCN 2004年01月05日vol.1021掲載



前川 洋一郎(まえかわ・よういちろう)
松下電器産業 役員

【筆者 Plofile】1944年1月6日生まれ。67年 3月、神戸大学卒業。67年 4月、松下電器産業入社。97年 5月、本社 経営企画室 室長。2000年 4月、(兼)IT教育研究所 所長。同年 6月、eネット事業本部長。01年 6月、取締役に就任。03年 6月、役員に就任。関西経済連合会、関西経済同友会、関西生産性本部に所属。


 年の変わり目は「干支」の話題が多いが、昨年、水野博之先生が「森から出たサルは何処へ行く」をセルバ出版よりタイミング良く出されました。「人間という生き物が、自ら滅ぼすかもしれないツールを発明してしまった。21世紀はそれがどうなるか」とのご高説。

 しかし、それ程に人間はサルを超えたのか。まだまだサルと変わらないのではないか…と思いつつ読むと、楽しく科学技術の偉人史に浸らせてくれる。子供にも読ませたい本である。

 ところで、今年より縁あって本コラムを担当することになりましたが、人間は森から大航海に出てしまったのだから、私は世の中で楽しく大遊泳というコンセプトで、私の同室のワトソン君の力を借りて進めます。諸先輩、読者諸兄のご指導をお願いします。

 さて、初ネタは80年代のHA、90年代のHII、そしてeHOMEを経て、00年から生まれたNET家電です。

 ユビキタス社会だからといって、冷蔵庫、電子レンジにインターネット、テレビが双方向になってNET通販、携帯でエアコンや照明の操作、IPカメラでセキュリティー…と色々出てきた。

 どのメーカーも、絵に描いたモチから、一歩一歩進んでいる。ワーキングトライアルであるが。あまりビジョン、NETテクノロジーに走りすぎてはいけない。サルには失礼だが、やはりサルが簡単に真似して使いこなせる程度の安全・安心・便利・快適が欲しい。

 「猿真似」を小学館国語大辞典で引くと「サルが人間を真似することの意」。「本質をわきまえないでただのうわべに走ること」らしいが、本当に使い易い、使いたい、銭のとれる商品サービス提供の第一歩はサルマネからかもしれない。サルマネから入って、お客様の深層心理をつかみ、技術とその融合による本質をものにすることが大切。

 今年は地上デジタル放送元年だが、NET家電元年でもありたい。
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