企業のIT調達モデルを変える デルの挑戦と死角
<企業のIT調達モデルを変える デルの挑戦と死角>1.臨界点に迫るデルの強さ
2004/01/05 20:43
週刊BCN 2004年01月05日vol.1021掲載
ある大手ディーラー幹部がこうもらす。「顧客から“デル製品は扱っていないのか”と聞かれることが多い。実際、扱えないこともないのだが、当社までがデル製品を扱えば、ハードの勢力図が完全に変わる。他のメーカーのことを考えると…」。
デルは直販メーカーながら、“間接的”にデル製品を取り扱うディーラーもある。ディーラー幹部のコメントは多少大げさに聞こえるが、法人向けパソコン、サーバーでデルの力が臨界点近くに達していることは事実だろう。
IDCジャパンの調査によれば、2003年の国内サーバー市場でデルがシェア2位を確保するのはほぼ確実だ。シェアトップのNECに肉薄する。パソコン分野でも2ケタ台のシェアをうかがう位置におり、シェア第3位のソニーはすでに射程圏内だ。法人の年度末需要次第では逆転もあり得るだろう。
数字の伸びを裏付けるように、デルの強みは広がっている。あるコンピュータメーカー関係者は、「国産メーカーが圧倒的に強かった薄型軽量のノートパソコン。それもB5ノートのコンペでデルに負けるとは思わなかった」と、驚きを隠さない。
もはやデル製品は、「無骨ながら堅牢で低価格」というイメージでは語れなくなっている。
NEC、富士通など国産ベンダーが法人市場に築いていた牙城は、ここ10年来、徐々にデルの浸食を受けてきた。そして、いよいよ04年は、それが大きな潮流となり、本丸に迫りそうだ。
では、デルの強さとは何なのか。「デル・モデル」と呼ばれる直販スタイルが強さの源泉だという点は語り尽くされている。
しかし、デル製品を購入する企業ユーザーや競合ベンダーに話を聞いていくと、直販の一言では片づけられない要素も見える。
例えば、法人ユーザーの意識の変化がデルの成長を支える強い要素ともなっている。これなどは、デルの強みを解き明かす上での大きなヒントになりそうである。
この連載では、“直販”というイメージの影に隠れたデルの強みを再点検し、一方で、順調な成長を阻む潜在的要素がないのかを検証していきたい。
4カ月ほどの連載となりますが、お付き合いのほど宜しく御願い致します。(坂口正憲)
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