水野博之　メガチップス取締役

　株価の変動を何かと予測したいものだ、という願いは昔からあって、ジンクスも含めていろいろなことが言われている。最近は若手の経済学者たちも自らの理論を駆使して熱心に研究している。しかし、それはいわば極めて自己矛盾的である。というのも、1度理論ができあがると、やがてそれは人々の知るところとなり、人々が知ってしまえば、人にはその理論に沿って動くから、すでにその効用は失われてしまうからである。

　ノーベル賞をもらった経済学者が、見るも無残な失敗をする例はたくさんあって、「株は魔物だ」という人さえいるほどである。では株で儲ける秘密とはなにか、といえば簡単なことなのである。昔から言われているように、「安く買って、高く売る」ということである。この簡単なことができないから損をするのだ。どんな売買だって高く買って安く売れば儲かるはずはない。当たり前のことだ。この当たり前のことができないから損をするのである。いま証券取引所でキラキラしている株は、もうすでに高値圏にあるものだ、と考えたほうがよい。すでに安値で買った人達がいるから出来高が上がり、キラキラしているのである。こんなのを勧められて儲かるはずはないのだ。

　あなた方が飛びつくときには、売りにまわって儲けようとしている連中が必ずいる。こんな連中こそ「アントレプレナー」で、安値で仕込み、人々が飛びついたとき売り逃げて黙っている黒幕である。このような黒幕にならないと株は儲からない。黒幕になる条件は2つで、1つは高い値の株は買わないこと。低位の株でいまから業績のよくなるものを探すことである。それもヘチ株をつかまされないよう自分で探すことだ。この工夫と努力のできない人は、本日限り直ちに株はやめたほうがよい。（西宮神社にて）