WORLD TREND WATCH
<WORLD TREND WATCH>第180回 富士通、北米販社を統合
2003/12/01 16:04
週刊BCN 2003年12月01日vol.1017掲載
受注生産体制で事業拡大
FCSは北米に140社の販売チャネルをもつが、同社は卸売りを介さず、直接販社へ販売する方法で、BTO(ビルドtoオーダー)で注文仕様に対応する。FCSのトシオ・モロハシ社長は、「卸売りをバイパスすることで、パソコンもサーバーもBTO方式が採用でき、販社からは高く評価されている」と語る。合併前両社の03年3月期売上合計は約36億ドル(3900億円)であったが、統合したFCSはデスクトップには注力せず、軽量が特徴の携帯端末としてのノートパソコンと、ハイエンドサーバーを主力商品とする。FCSはハイエンドサーバーでは、「サンSolaris UNIXサーバー、インテルItaniumのサーバーに加え、AMD Opteronベースを併行的に取り扱い、これらサーバーにもBTOによる販社指定仕様による組み立てを行う」と説明する。
北米ではデスクトップはホワイトボックスとデルでシェア60%近くを握るため、利益確保が難しいからだ。特にFCSが歓迎するチャネルパートナーは大型サーバーを中核とする付加価値の大きなバリューアデッド主体の大規模販社だ。アムダール時代には、ボーイング、シティグループなど超大企業が同社メインフレームユーザーでもあったため、FCS要員はエンタープライズシステムの経験が豊かで、米アナリストの1人は、「同社のエンタープライズへの提案力はヒューレットパッカード(HP)やサンの直販力を上回る」と高く評価する。
FCSパートナーである「アメリカコンプシステムズ」のルイ・ロドリゲス社長は、FCSについて次のようにいう。「ハイエンドサーバーまでBTOでリセーラに対応できるベンダーは少いので、チャネルにとってFCSは貴重な存在だ。多くのFCSチャネルはサンのSolarisサーバーを扱っているが、サンの業績が悪いことを懸念している。しかしFCS及び親会社富士通のサポートでサン業績安定も期待している」
米国エンタープライズ市場では、IBMが独り勝ち体制を固めつつあり、HPもサンもこのIBMの勢いに押されている。従って海外ベンダーである富士通が米エンタープライズで大きく伸びるには数多くの課題がある。富士通がSparc、Solarisサーバーで売上高を伸ばせば、当然サンユーザーを浸食することになり、サンにとっては歓迎できない事態だ。(中野英嗣●文)
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