テイクオフe-Japan戦略II IT実感社会への道標
<テイクオフe-Japan戦略II>16.公的個人認証
2003/11/17 16:18
週刊BCN 2003年11月17日vol.1015掲載
12月から実用試験開始
公的個人認証サービスの利用イメージはこうなる。最初は受付窓口である各市区町村役場に出向き、電子証明書などを格納するためのICカードを持参して利用申請書を提出する必要がある。現時点で公的個人認証の利用が見込まれているICカードは、今年8月から発行されている住民基本台帳カード(住基カード)だけ。「民間金融機関など他のICカードでも公的個人認証サービスが利用できるが、まだ申し出がない」(山碕良志・総務省自治行政局自治政策課課長補佐)ためだ。住基カードをもっていない人は先に住基カードの交付が必要になる。次に市区町村窓口で住基ネットなどによる本人確認を行ったあと、利用者自身の操作で鍵ペア生成装置にICカードを入れて公開鍵と秘密鍵を生成してICカードに書き込む。それを再び窓口に提出し、公開鍵だけを各都道府県に設置した認証局に送付。公開鍵が認証局に登録されたことを示す電子証明書が返送され、これをICカードに書き込んで手続きは完了する。電子証明書の有効期間は3年間で、発行手数料は500円の予定。ただし、来年3月までの間は、普及促進のため、無料で発行される予定だ。
このICカードを利用して自宅や会社のパソコンからオンライン手続きを行うには、新たにICカードリーダライタを購入する必要がある。まだ、ショップなどの店頭に住基カード対応のICカードリーダライタは並んでいないが、「各ベンダーに住基カード対応ICカードリーダライタの商品化を要請し、住基カードとリーダライタの適合試験を進める」(山碕課長補佐)ところだ。一方、来年2月から名古屋国税局管内からサービスを開始する電子申告・納税システムや、外務省が構築を進めているパスポートの電子申請受付システムなどのアプリケーションシステムと、公的個人認証システムの接続試験も最終調整の段階だ。
国民から確定申告などの申請書に、秘密鍵を使った電子署名と電子証明書が添付されて送付されてきたときに、アプリケーションシステム側から電子証明書の有効性を各都道府県の認証局に問い合わせて確認するといった手続きが必要になる。こうした接続実験を行った上で、各システムがいよいよ動き出すことになるわけだ。これまではメディアでも住基ネットばかりが注目され、肝心の公的個人認証サービスの知名度は今ひとつ高まっていない印象もある。それだけにサービス開始を目前に控えて、電子政府・電子自治体の本格普及に向けた啓蒙活動に本腰を入れていく必要がありそうだ。
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