“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>29.キッセイコムテック

2003/11/10 20:43

週刊BCN 2003年11月10日vol.1014掲載

 キッセイコムテック(神澤鋭二社長)は、事業拠点を本社のある長野県松本市から首都圏へ移すとともに、中国市場への進出を目指す。

首都圏での事業を強化

 同社はキッセイ薬品工業の情報システム子会社で、一般企業向けの情報システム構築に加え、医療・環境分野における情報システム構築にも多くの実績を持つ。

 今年10月、首都圏での事業拡大を目的として、東京事業本部を設置。情報システム部門と、パソコンなど情報機器レンタル部門を統括的に管理する体制を整えた。また、今年7月には中国・北京にソフト開発拠点をもつプラネット(趙宏峰社長)をグループ会社化し、同社が得意とする医療・環境における情報システム分野での中国進出を狙う。

 キッセイコムテックの昨年度(2003年3月期)の単体売上高は、前年度比微増の48億円で、社員は約230人。これを5年後の07年度(08年3月期)までに売上高65億円、社員320人に増やす強気の計画を立てる。今後5年間の成長の原動力となるのが、首都圏ビジネスの拡大に加えて、中国ビジネスの立ち上げになるというわけだ。

 昨年度売上高のうち、親会社のキッセイ薬品などグループ向けの売上高が約4割。残りの約6割に相当する約28億円がグループ外に向けた販売比率である。外販の28億円のうち首都圏が約6割を占め、その他の地域が約4割と首都圏の比率が高い。

 10月1日付で東京事業本部長に就任した千里裕通・常務取締役は、「今後生き残るのは大手システムインテグレータか、特色ある技術を持つ中堅システムインテグレータ。さらに、投資の決裁権が集中する首都圏での事業基盤を持てるかどうかも重要な要素となる」と語り、中堅クラスの同社として、医療・環境方面で特色あるビジネスを首都圏中心に強化する考えだ。また、首都圏では、中堅企業向けの基幹系システムとして、エス・エス・ジェイの「スーパーストリーム」などを主力商材の1つに位置づける。

 千里常務は、今年8月にグループ会社化したソフト開発のプラネットの代表取締役副社長も兼ねており、中国市場進出の準備にも余念がない。「中国は、医療や環境関係に関する投資を歓迎している。当社は、もともとこの方面でのノウハウを持っており、まずは特定分野で中国ビジネス参入を狙う」と、中国でも得意分野での市場参入を狙っている。(安藤章司)
  • 1