中国ソフト産業のいま
<中国ソフト産業のいま>40.BPOは中国で開花するか?(2)
2003/10/20 20:43
週刊BCN 2003年10月20日vol.1011掲載
A社の業務システムはインターネットベースで、営業などの直接部門が入力した取引データがペーパーレスで自動処理されている。業務スタッフが伝票をかき集めて集中入力する“日本的”な流れではないので、業務システムや業務スタッフをコストの高い東京のオフィスに抱え続ける理由はそれほどない。もう1社はアンチウイルス製品で知られるB社。こちらの場合は、日本の本社が手掛けるユーザーサポート業務の一部を中国・上海に構える拠点へ移転させるようだ。日本本社では、社員の3分の1がサポート業務にとられ、コストの高さが問題となっている。サポート要員とシステムをまとめて中国に集約させることでコスト削減を図る。
その中では、自動化が難しい電話サポートも手掛けていく予定である。オペレーターは日本語ができる現地スタッフである。この試みがうまくいけば、日本にある電話サポート拠点のキャパシティを徐々に上海へ集約していく考えのようだ。この2つの計画は、「合理的にモノを考えるIT系企業だから」と見過ごすことはできない。一般企業も多かれ少なかれ、同じ方向に向かいつつある。米国企業では、海外へ業務をアウトソーシングするのは珍しいことではない。米GEのサポート業務のほとんどはインド企業が請け負う。インドはITエンジニアを米国へ派遣する一方で、国内で米国企業の業務アウトソーシングを大量に請ける。「米国とインド」の間にある相互依存関係が、「日本と中国」の間にもできかけている。
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