OVER VIEW
<OVER VIEW>緩やかな回復基調にある米国IT市場 Chapter2
2003/10/13 16:18
週刊BCN 2003年10月13日vol.1010掲載
IBM直近決算に見られるITの新しい需要
■IT不況下、売上高が大きく伸びるIBM
このコミット通り03年に入ると、IBMは売上高、利益ともに大きく伸び始めた。03年1-6月決算の売上高前年同期比はこれまでの減収から脱し10.7%という大きな伸びを示し、当期間の純利益も前年同期比2.5倍、30億8900万ドルとなった(Figure7)。
この決算発表で、パルミザーノ会長は次のように自社躍進の理由を語った。

03年1-6月期のIBMセグメント別決算はこれから伸びる市場を明確に示している(Figure8)。
前年同期比の売上高では、グローバルサービスが23.2%というきわめて高い伸びを示し、これまで年々売上高が減っていたサーバー、ストレージ、ネットワーク機器のエンタープライズシステムも前年同期比8.3%という堅調な伸びを見せる。また、メインフレームやUNIXなど自社独自OSとeビジネスソリューションの中核ミドルウェアも7.1%の増加だ。
一方のパソコンは、幅は小さくなったものの相変らずの減少であり、半導体やOEM主体のテクノロジーは30%近い大きな減少を示している(Figure8)。
IBMセグメントで売上高を伸ばしたのは、いずれも売上高規模が大きく、減っているパソコン、テクノロジーは売上額が小さいので、全体として2ケタ成長をIBMは実現した。

■IBM事業の両輪、サービスとソフトウェア
03年1-6月期決算の売上高と税引前利益のセグメント別構成を分析すると、IBMビジネスを支えるのはITサービスのグローバルサービスおよびWebSphere、DB2、Lotusなどのミドルウェア中心のソフトウェアであることが明白になる(Figure9)。
売上構成ではサービスがちょうど半分の50%、これに15.9%のソフトウェアが続く。エンタープライズ関連は14.1%、パソコン12.3%、テクノロジー3.4%だ。この結果、サービスとソフトウェアのノンハードが全売上高の65.9%を占め、ハードは30%弱となった。パルミザーノ会長の前任者、ルイス・ガースナー時代にIBMは、それまでのハードウェアのフルラインアップ主体のベンダーから脱し、サービス主体へ転換し、再び世界ITの雄に復活した。パルミザーノ会長はガースナー路線を引き継ぎ、その脱ハード戦略をさらに強化している。

■オンデマンドITが、新しい需要を創出
IBMビジネスの牽引車、サービスでの構成はアウトソーシング、コンサルティング、システムインテグレーション(SI)がそれぞれ40、30、30%というバランスを保っている。さらにその伸びはコンサルティングがプライスウォーターハウスクーパースコンサルティングを買収したことで66%ときわめて高い伸びを示した(Figure10)。
また、IBMは03年1-6月決算の投資家向け資料で、売上伸長を支えたサービス、商品を具体的に説明しており、これによってこれから需要が伸びる新しいITを示唆している(Figure11)。

ハードではデータ処理量の増減に合わせ従量課金でプロセッサを増減できる「on-offキャパシティオンデマンド型サーバー」、そしてコンピュータの自己管理機能を搭載した「オートノミックUNIXサーバー/メインフレーム」も需要が顕在化している。また50年間の無故障を誇示する超大型メインフレームや、仮想化技術強化のストレージも大きな伸びを示す。さらにミドルウェアではeビジネスおよびLinuxシステム向けが大きく伸びた。また、低価格のミドルウェア「Express版」とSAPなどアプリケーションの統合ソリューションがSMB市場の17%という大きな伸びを牽引している。

IBMの考える新しい売上増伸の基本は「コンサルティングとITサービス」の一体化であり、これを競合力の強いエンタープライズシステムが支える。
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