“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦
<“一技の長”を探る>25.ネスコ
2003/10/13 20:43
週刊BCN 2003年10月13日vol.1010掲載
IBMのiシリーズ向けERPが好調
好調の背景には、ニッチだが的を射た製品開発がある。同社は、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のビジネスパートナーとして、01年にエス・エス・ジェイ(SSJ)のERP(基幹業務システム)「スーパーストリーム」をIBMのiシリーズ(旧AS/400)に対応させた「スーパーストリーム/400」を開発。国内独占販売権を獲得した。iシリーズの市場規模は、オープン系に比べて小さいものの、中堅企業を中心としたIBMユーザーには根強い人気がある。
曽我社長は、「中堅企業から2部上場の準大手企業を中心としたiシリーズユーザーから好評を得た」と話す。昨年度末(03年9月期)までの累計納入数は約40社。今年度は新規で約60社への導入を見込み、累計100社に増やす計画だ。
「iシリーズを使う企業数は、国内約2万社あると見ている。このうち1%のシェアでも約200社ある。ここ数年で、最低300社には売れる手応えを得ている。SSJからは、人事給与など新しい商材も出ているので、これらを品揃えに加えながら、iシリーズ向けの事業拡大を目指す」と話す。会計制度変更に対応するバージョンアップなどの年間保守料も同社の安定収入に貢献している。
他のIBMビジネスパートナー(BP)に支えられたこともプラスに働いた。BP最大手でiシリーズ事業に強い日本ビジネスコンピューター(JBCC)をはじめ、有力販社がスーパーストリーム/400の販売に取り組んでいる。顧客企業にとっても、財務会計システムの独自開発に比べて、「3-5年で3-4割トータルコストが安くなる」(曽我社長)と、利点が大きい。
同社は、もともとソフトウェアの受託開発が売り上げの中心だった。しかし、「基幹業務システムのパッケージ化が急速に進んでいる。顧客企業が他社のERPパッケージを導入したら、これまで獲得してきた受託開発の仕事が減るのは目に見えている。だったら、自分たちでERPパッケージを製品化しようということになった」と話す。
昨年度の同社全体の売上高は約30億円。今年度はスーパーストリーム/400の事業が好調であることを踏まえ、前年度比10%増の33億円を見込む。(安藤章司)
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