中国ソフト産業のいま
<中国ソフト産業のいま>38.PDMを中国で売る
2003/10/06 20:43
週刊BCN 2003年10月06日vol.1009掲載
2002年夏、上海に現地法人を設立。さっそくユニクロ現地法人の基幹業務システム構築を手掛けるなど、国内でも話題となった。だが、何といっても強みは、製造業に向けたソリューションビジネスだろう。高度な制御技術が要求される製鉄所システムで培った技術力は、IT一本できたソフト会社とは違った奥の深さを持つ。そうした背景を持つ同社からすると、世界の製造業が集中する中国は“宝の山”。国内でもトヨタ自動車など大手製造業を顧客に持つので、中国進出への要請は強い。
特に中国で狙っているのが製造業で、需要が盛んな製造データ管理(PDM)分野。開発実績が豊富なPDM製品「eMetrix」で、日系製造業へPDMソリューションを売り込んでいく。PDMの基礎となる3次元CAD製品「SolidWorks中国語版」の販売にも力を入れる。日系企業が同製品を採用すれば、取り引きする現地企業へも販売先を広げられる。新日鉄ソリューションズは、中国に力強いパートナー企業も持つ。この連載でも紹介した開発ベンチャーのエム・アイ・エス・テクノロジー(MIST)だ。
MISTは現地で清華大学をはじめ、現地ソフト会社の東軟集団、大連海輝科技と提携関係にある。両社とも、CMM(ソフト開発成熟度)で最高位レベル5を有する。つまり、新日鉄ソリューションズは現地の有力ソフト会社とも連携できるわけだ。来春、親会社の新日鉄は中国の鉄鋼最大手、宝山鋼鉄(上海)と合弁会社を設立する。最先端の鋼鉄製品で急成長する現地の自動車メーカーなどへ製品を供給するためである。この合弁会社の生産システムも同社が手掛ける公算が大きい。製造業を顧客基盤とする新日鉄ソリューションズにとって、中国は重要な市場になってきた。
- 1