多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>9.日本エフ・セキュア

2003/10/06 20:43

週刊BCN 2003年10月06日vol.1009掲載

 法人市場に特化し、ウイルス対策ソフトを中心に情報セキュリティ事業を手がけるフィンランドのセキュリティベンダー、エフ・セキュア。1999年に日本法人、日本エフ・セキュアを設立し、国内市場向けに本格的な事業を開始した。現在の売上規模は約4億円と、競合大手に比べてビジネス規模ははるかに小さい。だが、渡邊宏・日本エフ・セキュア社長は、「大手他社に割って入る隙間は十分にある」と、ビジネスの拡大に自信をみせる。

Linux関連製品に手応え

■価格でも差別化図る

 その裏付けにあるのは、約1年前に販売したLinux関連製品の好調さだ。同社では、ウィンドウズ向けウイルス対策ソフトやネットワーク管理製品を主軸に展開していたが、昨年9月にLinuxサーバー向けのウイルス対策製品と、Linuxを基盤にしたゲートウェイ製品の2品目を販売。急速に売り上げを伸ばしており、「今では、当社の売上高の約半分を占めるまでに成長した。予想以上の爆発的な伸び」(渡邊社長)という。

 「Linux関連製品は、今後さらに注目を集めていく。当社のLinux関連製品も年率20-30%増で推移すると予想している」と期待する。来年早々には、Linuxに特化した新製品の発売も予定しており、Linuxを中心とした事業展開を加速していく方針だ。最近の“Linuxブーム”が追い風になっているのに加え、「Linux向けの製品開発に力を入れた結果、機能面で他社より差をつけることができた」(同)というのが急拡大の理由としている。

 ゲートウェイ製品では、「SMTPやHTTPなど6つのプロトコルに対応し、かつ処理速度は他社の3-10倍で圧倒的に早い」と優位性を主張。また、「後発としてユーザーにインパクトを与えるためには、価格のメリットを訴えるのが最も効果的」(同)として、他社に比べて約30-60%安い価格を設定している。また、同社では100%間接販売のため、販売代理店となるパートナー企業の拡充にも力を入れている。現在15社と提携しているが、特にOEM(相手先ブランドによる生産)提供を行うパートナー企業を増やしており、インフォマニアや日本デジタル研究所(JDL)など6社のOEMパートナーと提携している。年内には人員を増やし、サポートやパートナーへの支援体制の充実も図る計画だ。
  • 1