“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>23.ウチダユニコム

2003/09/29 20:43

週刊BCN 2003年09月29日vol.1008掲載

 ウチダユニコム(小林正尚社長)は、データマイニング技術を組み入れたERP(基幹業務システム)事業を立ち上げる。同社はデータマイニング技術を活用した在庫管理システムの構築で実績があり、社内に「データ活用研究所」を設けて、マイニングの技術向上に努めてきた。

データマイニングで強みを発揮

 だが、マイニングだけで収益拡大を図るのは困難。そこで、今年7月、データ活用研究所と本社営業部門を統合し、新しく「ERP営業部」を開設した。マイニング専門の技術者4人を含むSE約12人体制で、これに営業担当者約6人が加り、計約18人体制とした。データマイニングの技術を生かしながら、基幹系システムの構築に本格的に乗り出す。

 これまで同社は、データマイニングの技術を最大限に活用できる販売管理・在庫管理の分野に経営資源を集中してきた。親会社の内田洋行の基幹業務システム「スーパーカクテルシリーズ」は、とりわけ販売管理で高い評価を得ている。ウチダユニコムは、スーパーカクテルの販売管理システムに独自のデータマイニングシステムを付加してきた。

 「データマイニング技術により、これから発注する商品も在庫として予測できるなど、“未来在庫の管理”まで踏み込み、さらにマイニング技術を顧客企業の担当者に教育するコンサルティング領域も拡充させた」(小林社長)点が、顧客から評価を得た。

 ところが、マイクロソフトなどデータベースメーカーが、データマイニングの領域に進出する構えを見せるなど、マイニングだけでは付加価値が得にくくなっている。これまで、ウチダユニコムは、カナダ・コグノス社のマイニングツールを扱ってきたが、マイニングツールの販売だけでは、「2ケタ成長は難しい」と判断。

 そこで、打ち出した新方針がデータマイニング技術を基盤としたERP事業の立ち上げである。だが、これまで、販売・在庫管理やデータマイニングに集中してきたこともあり、財務会計や人事給与など、主要な基幹業務システムすべての商品が揃っている状態ではない。

 当面は、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の財務会計ソフト「勘定奉行」やスーパーカクテルにデータマイニングを付加した形でERP事業を立ち上げ、段階的にERP商材の拡充を図る。ERP営業部は、来年度(2005年7月期)には年商3億円を目指す。全社の今年度(04年7月期)の売上高は前年度比5%増の32億円を見込む。(安藤章司)
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