立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>5.今や実業の世界に拡大!

2003/09/29 16:18

週刊BCN 2003年09月29日vol.1008掲載

 ロゼッタネットは1998年に米国で設立された「インターネットを活用した、グローバルで効率的なサプライチェーン構築を目指すビジネス情報交換のための非営利の標準化団体」で、00年にロゼッタネットジャパンが日本で唯一の提携組織として設立されている。ロゼッタネットでは、00年までがグローバルな組織、運営の基礎作りの時代であり、標準開発・テストの期間であった。

 ロゼッタネットジャパンが本格的に活動を始めた01年からが、ロゼッタネット標準が実業の世界で実際に活用され始めた時期になる。日本でも「Order Management in Japan(OMJ)」が発足し、当初受発注プロセスから、在庫情報、需要予測などへ随時適用プロセスが拡大され、昨年にはOMJだけでも166社間で16種類のPIP(パートナー・インターフェイス・プロセス)を使用した791の接続がなされている。

 また、ロゼッタネット本部でのサンプリング調査の結果、昨年度実装パートナー数の伸び率は207%、1社当りの接続パートナー数は前年度の6社から16社へ、適用した平均PIP数も10種となり、実業の世界に実際に定着し始めたと言える。加えて、設計開発などのビジネスプロセス分野でも、カタログ情報交換、新製品技術情報交換から、現在「環境問題」に大きく係る「環境情報交換」などの電子化・自動交換という新しい試みも紹介されている。

 すなわち、ロゼッタネット標準は実業からのニーズに応じて、実務に即した形でビジネスプロセス全体を網羅する標準となりつつある。さらに、ロゼッタネットは昨年のUCCとの合併、今年6月にはOASISとの連携を発表しており、そのシナジー効果により、ハイテク業界のみならず流通業界などの分野とも連携した標準化へのリーダーシップが期待されている。

 これを裏付けるように、今年新たにモバイル分野に対応する欧州を中心にしたテレコムカウンセルが発足し、物流分野を視野にロジスティックカウンセル設立の動きも推し進められている。このように業界・企業のニーズに対応し、今やロゼッタネット標準の実装は急速に実業の世界で拡大しつつあると言えそうだ。(ロゼッタネットジャパン事務局 事務局長 辰尾 孝)

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