中国ソフト産業のいま
<中国ソフト産業のいま>36.真のパートナを中国に持つ
2003/09/22 20:43
週刊BCN 2003年09月22日vol.1007掲載
川鉄情報が中国に進出したのは早かった。1991年5月、北京市計算センターとの間に合弁会社、北京科宝系統工程有限公司(BKB)を設立している。BKBは96年、中国ソフト会社として初めて品質マネジメント基準「ISO9001」を取得するなど品質管理体制を充実させ、日本向けの受託開発で実績を積み重ねる。自動車メーカーから電力会社まで、幅広い業種のシステム開発を手掛けていたようだ。
だが、川鉄情報は01年春、BKBの出資持分株をすべて北京市計算センターに売却する。「開発コスト上昇」を撤退の理由に挙げているが真相は不明である。業界関係者によれば「合弁事業の難しさで、主導権を握れなかったようだ」という。ともあれ、同社の中国ビジネスは一度頓挫している。その川鉄情報が新たな“中国事業”に乗り出した。同社は今年8月、中国のBIT(Beijin InterAct Technologies)が開発したCTI(コンピュータテレフォニーインテグレーション)システム「xCon tact」の国内販売を開始すると発表した。
BITは99年設立のベンチャーだが、xContactは銀行や政府関係など300サイトに導入されている。CRM導入が急増している中国で、BITの持つ自動音声応答技術は高い評価を得ている。川鉄情報は、価格性能比が高いxContactを武器に日本市場で中小規模のコールセンター需要を開拓していく考えで、専門部隊を構えた。今後は自社開発のCRM製品とも機能連携させていく。
実を言えば、BITの創業者である劉明氏は、かつて川鉄情報の社員としてCRM事業に携わっていた。同社で得たノウハウを中国に持ち帰り、起業したのだ。劉氏にすれば、旧知の川鉄情報は日本での重要なチャネルになる。逆に同社からすれば、BITは優れた製品・技術の調達先である。さらに近い将来には、BIT経由で自社製品を中国市場へ販売していく計画も持つ。利害が一致する真のパートナ企業を中国に持つ。これもまた中国ビジネスの1つの形態だ。
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