“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦
<“一技の長”を探る>21.サイバーテック
2003/09/15 20:43
週刊BCN 2003年09月15日vol.1006掲載
受託開発からの脱却へ
創業以来5年間、業績は順調に伸びた。創業時のメンバーは橋元社長を含めてわずか2人。今の社員は30人近い。しかし、受託開発中心のビジネスモデルは創業時から変わらない。当面の業績は心配ないものの、受託開発のみでは安定的な成長戦略を描きにくい。同社は、8月に受託開発の営業部門を廃止し、新しくソリューションビジネス推進部を新設した。メンバーは6人。橋元社長みずから推進部長に就いた。
この部門の使命は3つ。(1)下請け仕事ではなく、主契約者としての仕事を獲る、(2)リアルビジネスを立ち上げる、(3)リアルビジネスで習得したIT技術の販売――だ。
(1)は、受託開発事業者の多くにとって普遍的な課題だ。(2)のリアルビジネス立ち上げを目標に掲げるIT企業は少ない。ここで言うリアルビジネスとは、ITを駆使した事業を指す。つまり、サイバーテック自身が、自前のIT技術を活用し、これまでのソフト開発とは関連のない事業を立ち上げることを指す。
例えば、最新のXMLデータベースを駆使し、魚介類の売買を手がける…などである。突飛なようだが、ITベンダーがリアルビジネスを手がける事例は、リンドウズOS 4.0日本語版の発売で話題を呼ぶエッジ(堀江貴文社長)のオンラインDVDレンタル「ぽすれん」などがある。
橋元社長は、「エンドユーザーに近ければ近いほど収益性が高く、リスクも高いのがビジネスの基本。多くのITベンダーは、エンドユーザーから遠いところで、ITの技術的な部分だけの商売をしがち。そうではなく、みずからリスクを背負い、エンドユーザーに直結したところでリアルなビジネスを展開する。ここで得たITノウハウを横展開することが大切」と話す。
LinuxやXMLデータベースは要素技術。ビジネスに直結していなければ、それほど価値はない。ITだけにとらわれず、幅広い領域でのリアルビジネスを模索し、そこで得たノウハウをITに還元して、次の成長に結びつける。(安藤章司)
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