立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>1.はじめに

2003/09/01 16:18

週刊BCN 2003年09月01日vol.1004掲載

 世界規模のグローバルサプライチェーンの構築を目指す標準化団体、ロゼッタネットの活動がIT業界に衝撃をもたらそうとしている。

 ロゼッタネットは米国で1998年に設立された非営利の団体で、00年にはアジアで最初の提携コンソーシアムとして、ロゼッタネットジャパン(RNJ)が電機・電子メーカー、IT関連企業によって設立されている。RNJでは昨年、ソニーを中心に関連企業が参加し、従来の受発注業務に加え、新たに設計技術情報の交換を目的とするプログラムをスタートし、日本発の世界標準「PIP2A10」を開発し、運用を始めている。

 ロゼッタネットといえば、電子部品のe-マーケットプレイスという印象をもつ人も多いかもしれないが、何も電子部品の調達コスト削減やスピードアップばかりが活動の目的ではない。

 RNJの大塚裕司副代表(大塚商会社長)によれば、「世界的に環境規制が厳しくなっていることから、購入する電子部品にどのような環境負荷物質を使用しているか、という情報が必要になっている。カタログ情報を記載できるロゼッタネットならば容易に対応可能だ」と、本来の目的以外にも有効性が見出されてきているという。

 そのため電子部品ばかりではなく、電子部品を使用したIT製品、電機製品はもとより、自動車などの産業分野でもロゼッタネット標準へ参加する動きが広がっている。

 多くの産業でロゼッタネット標準が採用されることで、通関業務や課税の際にも標準化されたデータが役立つケースも出てくる。

 RNJ関係者によれば、インテルではマレーシアにおける通関業務においてロゼッタ標準を採用することにより効率的な処理をしている。世界各国で行政事務をデジタル化する電子政府構築が進められているが、そうしたシーンでもロゼッタネット標準が貢献する可能性があるというわけだ。

 ロゼッタネットのアジアにおける活動は、すでに日本、韓国、台湾、シンガポール、マレーシアのほか、今年3月にはフィリピンでも組織化が図られ、中国でも今年10月の組織発足に向けた活動が進んでいる。電子部品の一大供給基地であるアジアでのネットワークが広がりは、今後、北米や欧州などの他地域と連動しながら、グローバルなネットワークを形成していくことは間違いない。

 次回以降、ロゼッタネットの実像に迫りたい。(監修 ロゼッタネットジャパン事務局)
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