多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>4.富士通(上)

2003/09/01 20:43

週刊BCN 2003年09月01日vol.1004掲載

 富士通は1998年、情報セキュリティビジネスと本格的に取り組み始め、セキュリティに特化した製品・サービス群「@セキュアビジョン」を商品化した。セキュリティ関連製品・サービスの企画・開発専門部隊「セキュア推進室」を組織し、セキュリティ関連製品・サービスだけを初めて体系化した。

01年に3ラインへ再体系化

■12社と協業、80種類以上の商品提供

 その後、01年に市場の成長とともに増加し続ける製品・サービスを改めて整理。「組織規定」、「インフラ」、「アプリケーション」の3レイヤー、11のソリューションに分けた。「企画・構築・運用といった時間軸で体系化した『@セキュアビジョン』では、新ジャンルや、増え続ける製品・サービスをわかりやすく伝えることが難しくなってきていた」(塩崎哲夫・システムサポート本部セキュリティサービス統括部セキュリティシステム部長)ため、抜本的に見直した。

 具体的には、「組織規定」ではセキュリティ対策の方針や立案支援、「インフラ」では情報漏えい対策などの情報資産保全、「アプリケーション」では電子認証などの取引や情報流通の安全性確保関連の製品・サービスに分けている。12社以上のセキュリティベンダーやグループ会社との協業体制で、80種類以上の製品・サービスを用意した。富士通が強みとしているのが、「BS7799」など国内外のセキュリティ標準を参考にした、独自開発のセキュリティポリシーを利用した提案だ。

 ユーザーに製品・サービスを提案する前に、まずこのセキュリティポリシーを無償で提供し、ユーザーのセキュリティシステムに「何が足りないのか」を伝える。基本となるセキュリティポリシーと、より詳細に分けたポリシーの2段階を用意しており、その上で製品・サービスを提供する「3段階提案を徹底している」(塩崎部長)という。「営業やSE(システムエンジニア)はこのポリシーを利用することで商品を分かりやすく伝え、ユーザーはポリシーと照らして必要な製品・サービスを容易に判断できる」(同)ことが、強みになっている。(木村剛士)
  • 1