テイクオフe-Japan戦略II IT実感社会への道標
<テイクオフe-Japan戦略II>2.テストベッド
2003/08/04 16:18
週刊BCN 2003年08月04日vol.1001掲載
IT社会基盤の整備目指す
総務省がこのほど、「ユビキタスネットワーク時代に向けた次世代研究開発ネットワークの在り方に関する調査研究会」報告を公表した。99年度からすでに運用を開始しているテストベッドネットワーク「ギガビットネットワーク(JGN)」の研究プロジェクトが今年度で終了するのを受けて、JGNの成果を踏まえて最先端のテストベッドネットワークに必要な機能などを検討してきた。JGNは、総務省の認可法人「通信・放送機構(TAO)」が超高速光ファイバー通信網(ギガビットネットワーク通信回線)と共同利用型研究開発施設(ギガビットラボ)を整備して、大学、研究機関、行政などに開放するというプロジェクトで、最大2.4Gbpsの超高速回線網を全国67か所のアクセスポイントから利用できる。
今回の報告では、「基盤技術の研究開発」、「利活用技術の研究開発」、「実証実験」を三位一体で展開し、これまでのJGNに加えてテラビット級高機能光テストベッド、ギガビット級無線アクセスネットワーク、ユビキタス型テストベッドなどの整備の必要性が打ち出された。
政府の施策に対応してテストベッド構築の動きも活発化してきた。97年に開業した研究都市「横須賀リサーチパーク(YRP)」でも、研究開発事業を企画・推進するYRP研究開発推進協会(会長・甕(もたい)昭男テレビ朝日取締役)内に「YRPユビキタス通信テストベッド活用実験・研究フォーラム」を今年6月に設立。NTTドコモなどモバイル系を中心に研究機関が集積された特徴を生かして整備を進めてきたテストベッド「YRPテストネット」の機能を大幅に拡充するとともに、利活用の促進を図る。
昨年3月に策定した「YRPの5か年ビジョン」では、モバイル分野の研究成果を発展させて、ブロードバンド、デジタル放送、ユビキタスネットワークへと領域を拡大していく方針を打ち出した。有線系・無線系の各種システムが境目のないシームレス通信を実現できる実験基盤を構築するとともに、国際標準化や相互接続性の国際認証へも対応できる環境を整備したい考えだ。
今回発足したフォーラムでは、YRPテストネットの有用性を積極的にアピールして、国の支援なども得ながらテストベッド機能を拡充する。YRPの敷地内の市道を中心に光ファイバー1㎞と無線系ネットワーク機器を設置するためのポールなども設置済みだ。
今後は第1ステップとして、既存の光ファイバー網を延長し、京浜急行線のYRP野比駅までを結ぶほか、実験データを収集・分析する「YRPテストベッドセンター」を設置する。
第2ステップでは、京浜急行線の線路沿いに敷設されている光ファイバーを結んで、横須賀市の市街地や電車などを結んでアプリケーション開発に幅広く対応できる環境を整える。
「YRPには大学研究室を含めて60以上の研究機関が集積、6000人もの研究者が活動している。モバイル、デジタル放送、ユビキタスまでをカバーするリサーチパークは世界にも類を見ない」(甕会長)――。その優位性を生かしたテストベッドの整備・拡充に注力していくことにしている。
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