テイクオフe-Japan戦略II IT実感社会への道標
<テイクオフe-Japan戦略II>1.電子政府構築計画
2003/07/28 16:18
週刊BCN 2003年07月28日vol.1000掲載
利用環境の普及がカギ
まず、今回の計画の内容を見てみよう。全体構成は「基本的考え方」、「施策の基本方針」、「府省別計画」の3つに分かれており、最初の基本的考え方では「利用者本位の行政サービスの提供」と「予算効率の高い簡素な政府」を実現キることを明確に打ち出した。2番目の施策の基本方針では、「国民の利便性・サービスの向上」、「IT化に対応した業務改革」、「共通的な環境整備」の3つの柱を掲げた。
昨年12月に成立した行政手続オンライン化関係3法に基づいて、行政手続きを可能な限りオンライン化するという「量」の追求から、便利で分かりやすい行政サービスを受けられるようにする「質」の向上への転換を図る。
オンライン利用の目標は、インターネット普及率と“同程度”に設定された。総務省の情報通信白書によると、02年末でインターネットの人口普及率は約55%B企業(300人以上)で98%、事業所(5人以上)で79%、世帯で81%となっており、5年後には人口普及率も70%に達すると予想されている。オンライン利用率も、まずは5割をクリアしてから8割程度をめざすことになりそうだ。
オンライン利用を促進するために、原則として24時間365日の受付を実施するほか、05年度末までに手続きの頻度軽減、添付書類の省略・廃止、手数料の低減などの検討も進める。
企業向けに申請・届出の件数が多い手続きや反復継続して行われる手続きを一括処理できるように、電子申請システムの仕様を公開して利用者側システム対応を図りやすいようにする。
利便性アップにはワンストップサービスの拡大も欠かせない。ポイントは、すでに開設されている電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガブ)」をいかに利用しやすくするか。利用したい手続きに簡単に表示できるようにe-Govの案内をサービス分野別に再構成するほか、関係機関や民間事業者とも連携してe-Govから一元的な情報提供ができる機能を実現していく計画だ。
基本方針の柱である「IT化に対応した業務改革」では、各府省がバラバラに開発・導入していた情報システムのうち、共通化可能な人事・給与などの官房基幹業務システムと、旧式(レガシー)システムを含む個別業務システムに分けて、業務・システムの最適化計画を策定。順次、開発を行い、下記のスケジュールで導入を進めていく。
「共通的な環境整備」では、各府省のCIO(情報化統括責任者)をサポートするCIO補佐官として民間の専門家を起用する制度を導入。国際標準に適応した文字情報・コードの整備を進める一方、地方自治体との連携を図るため今年8月までに実務者レベルの協議会を設置することになった。
電子政府を利用するには、まず本人確認のための電子証明書を取得することが必要となる。公共工事の電子入札の場合、利用者はICカードとリーダーの購入費と電子証明サービスの利用料を負担して利用している。
今年秋ごろからスタートする公的個人認証サービスを含めて電子政府サービスの利用環境をどのように普及させていくかが、最初の関門になりそうだ。
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