進化するJ2EE その真髄とは

<進化するJ2EE その真髄とは>16(最終回).エンジニアとして

2003/07/28 16:18

週刊BCN 2003年07月28日vol.1000掲載

 長きにわたったコラムも最終回を迎えた。最後にエンジニアとしてJ2EEとどのように付き合っていけばよいかという話をして締めくくろうと思う。J2EEのアプリケーション・サーバーは、あるアプリケーションを作るときのランタイムやライブラリーセットのような使われ方というよりは、今後のITシステム基盤として広まっていくことだろう。「あなたの企業のシステムは何ですか」と聞かれたとき、「メインフレーム」や「UNIXシステム」ではなく「J2EEです」という回答がされるようになるのである。(日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業部 WebSphere営業企画推進 テクノロジー・エバンジェリスト 米持 幸寿)

 エンジニアは、プラットフォーム技術の1つとしてJ2EEの知識を身につけるべきだ。これからのIT業界において最大のシェア、最大の市場規模を占めるのはJ2EEであるという統計がある。もちろん、J2EEですべてが完結するわけもなく、ヘテロジニアス(異機種混合)な時代はまだまだ続くが、J2EEでの開発技術や、J2EEと他のシステムとの連携方法などのノウハウを持つことが今後のITエンジニアの必須科目といえるだろう。J2EEシステムはどのように企業の基盤となるのだろうか。

 J2EEシステムは、そのアーキテクチャ上、1つのサーバー環境に複数のアプリケーションが同時に稼動し、そしてそれぞれ個別に管理される。あたかもメインフレームに複数のサブシステムが稼動していたときのようだ。このようなシステムを構築、管理、運用していくには、さまざまなロール(役割)に分かれ、さまざまな作業やプロセスを行うことが要求されることになる。システム全体の設計(アーキテクチャ)、開発プロセスの計画や管理、アプリケーションの設計と開発、アプリケーションの管理、システムの管理など、幅広い知識と経験が必要だ。さらに、J2EEシステムはサーバーという単位から、さらに抽象化されたものに変化していくことになるだろう。

 J2EEシステムはクラスタリングのような手動による統合の時代から、コンピューティング・グリッドのような仮想化されたシステムへと発展することが予想されている。システムはオートノミック技術により自律的に構成され、連携され、調整されて稼動する。J2EEサーバーはコンピュータを指すのではなく、コンピューティング・グリッドを指すようになるはずだ。コンピュータが仮想化された時代もEJBのようなJ2EEコンポーネントは最適な実行モデルであると言われている。今後のアプリケーション・コンポーネントを長期にわたって利用するには、J2EEは最適の選択肢なのである。いますぐJ2EEを始めよう。これから来るであろうオンデマンドの時代には、J2EEアプリケーション開発技術は、エンジニアとしての人生を確実に豊かなものにしてくれるはずだ。そして、あなたの技術と経験によって、IT業界を発展させていこうではないか。
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