“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>14.富士通ビジネスシステム

2003/07/21 20:43

週刊BCN 2003年07月21日vol.999掲載

 富士通ビジネスシステム(FJB、鈴木勲社長)が開発した.NETフレームワーク対応の業務アプリケーション「ウェブASコンポーネント」が順調に立ち上がり始めた。今年4月から本格的な商談を始め、年度内(2004年3月期)には300受注を目指す。現在は販売管理システムが中心だが、今後は営業支援システムなどの新しいコンポーネントを順次追加する。

今年度300案件の獲得目指す

 ウェブASコンポーネントの特徴は、従来のクライアント・サーバーシステムとは異なり、完全にウェブ対応を完了している点にある。また、.NETフレームワーク上で稼働するため、ウェブサービスなど新しい通信方式にも柔軟に対応。すでに全国で中堅・中小企業と商談を始めており、受注規模は1案件あたり500万-2億円が中心だという。

 ただし、販売管理システムなど日常的に入力業務が頻発するケースでは、「反応が鈍いウェブブラウザで入力するのは不便」という指摘もあり、FJBでは、表計算ソフトのエクセルなどを入力画面にする仕組みを開発した。

 藤本政久・マーケティング本部営業推進統括部ソリューション推進部長は、「ウェブASコンポーネントは、どんな非力なパソコンでも、ブラウザさえ動けば端末として機能する。この良さを生かしながら、エクセルやワードなどを入力画面に応用して利便性を高めた」と語り、「さらにマイクロソフトの次期オフィス製品は、ウェブASコンポーネントと互換性が高いXML方式でデータ出力する機能を標準で備えており、入力インターフェイスとしての利便性は、大幅に高まる」と話す。

 今年4月にウェブASコンポーネントを納入した梱包資材卸業者からは、「自前の業務手順に柔軟に対応できる点を評価してもらっている」という。この顧客は、従来のシステムから、.NET対応のウェブASコンポーネントに置き換えている。

 藤本部長は、「販売管理は、財務会計などと異なり、各社各様で、同じシステムを流用しにくい。コンポーネント単位で組み上げられ、自由度の高い入力方式を設計できる点は、ウェブASコンポーネントの最大の強み」と話す。

 たとえば、卸業務からEC通販や小売りにも進出するなど業態を多様化する場合、情報システムの変更に手間取ってしまう。この点、自由度が高いウェブASコンポーネントが評価されているわけだ。(安藤章司)
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