進化するJ2EE その真髄とは
<進化するJ2EE その真髄とは>15.J2EE対応パッケージというジャンル
2003/07/21 16:18
週刊BCN 2003年07月21日vol.999掲載
J2EEアプリケーションを開発することのメリットは、パッケージ・ソフトウェアでも十分に得ることができる。
安全なトランザクション制御、スケーラビリティ、クラスタリングへの対応など、自作したら大変な労力がかかるであろうが、そうした付加価値を簡単にパッケージ・ソフトウェアに持たせることができる。
たとえば、J2EEのようなウェブ基盤を使ったパッケージ・ソフトウェアとして「グループウェア」をよく見かける。
グループウェアのようなソフトウェアでは、数人の小さな企業でも使うし、数千人規模の企業でも使われるかもしれない。単純にサーブレットなどで作ったシステムでは、数千人以上の規模では安定して稼動することは難しいだろう。
ところが、J2EEモデルでEJBなどを駆使して作っておけば、クラスタリングなどできちんと大規模にも対応できるわけである。これは重要なことだ。
J2EEを基盤にしたアプリケーション開発の素晴らしさはこれまでに語ってきたが、パッケージ・ソフトウェアをJ2EEで開発することの意味は、実は違うところにある。
パッケージソフトは、当然のことながら多くの企業に採用してもらいたい。多くの企業に採用してもらえれば、十分な利益を期待することができる。
そのとき、企業にコンピュータごと売るか、パッケージだけを売ることができるか、ということは大きな違いがある。
J2EEミドルウェアは、現在かなりの企業に採用されている。そして、J2EEは、昔の「タイムシェアリング」という言葉が生まれたころのコンピュータと似たような使い方ができるようになっている。
それが「エンタープライズ・アプリケーション」という考え方だ。エンタープライズ・アプリケーションは、1つのコンピュータ(サーバー)上に複数同時にインストールし、それぞれを別々に管理することができる。
J2EEに対応したパッケージソフトは、「すでにあるサーバーに追加インストールする」ことが可能なのだ。
また、J2EEアプリケーションは多くのミドルウェアに同時に対応することができる。
ユーザー企業がどのベンダーのミドルウェアを採用していようと、現在使っているミドルウェアを変更しようと、J2EE対応アプリケーションは利用できるのだ。それだけでも、市場が広がるのは間違いない。
ユーザー企業から見ても、利用しているサーバーにとらわれずに多くのパッケージを選択できるのはうれしい限りだ。
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