Japan STOCK
今年最大のIPO セイコーエプソン上場
2003/07/07 16:04
週刊BCN 2003年07月07日vol.997掲載
活況展開続く
今年最大のIPO(株式新規公開)として関心を集めていたセイコーエプソンが6月24日に東証1部に新規上場。初値は3690円と公募価格2600円を40%上回る好スタートとなった。株式市場全体が上昇するなかで最近のIPOは初値が公募価格を大きく上回るケースがほとんどだが、公募増資による資金調達1000億円超という大型公開株のこの上昇率は予想以上。株式市況の好転、そしてエプソンに対する期待の大きさを印象づけた。
エプソンの初値でのPER(株価収益率)は30倍。業態の似たキヤノン(18倍)に比べると割高ということになるが、機関投資家の売り圧力が小さいこと、IPO人気などが実力に上乗せされて株価が形成されたとみられる。
上場当日は引受主幹事の日興証券グループ経由の買い注文が目立ち、同社の営業努力の成果も反映されたようだ。ちなみに初値の時価総額は7080億円で、オリンパス(6月27日で6700億円)をやや上回り、キヤノン(4兆8600億円)の7分の1の水準。
草間三郎社長は上場後の会見で「高く評価してもらい感謝している」と感想を述べるとともに、経営方針を次のように語った。「中期的には成長性の高いプリンタ、プロジェクタ、ディスプレイの3事業に経営資源を集中する。写真用インクジェットプリンタ市場は06年まで22%近い成長が見込める。ハード面では超微細加工技術、ソフト面では画像処理技術が事業推進のベースとなる。03年3月期に280億円の営業赤字となった電子デバイス事業は、半導体の工場閉鎖、人員削減などのリストラ策で04年3月期は収支ゼロまで回復する見通し。中期的な数値目標は営業利益で過去最高水準(01年3月期の1041億円)が目標」。
エプソンの上場日以降の株価は一時3300円台まで下げるなど売りが優勢になっている。今後の株価を見るうえではまず、1080万株の売買が成立した初値を株価が上回ってくるかどうかがポイント。上回れば固定化した資金が流動化することになり、エプソンの株価にはプラスなうえ株式市場全体にとっても歓迎されることになる。
また、上場1か月後の7月25日にはTOPIX(東証株価指数)の算出対象になるため、インデックス運用を行っている機関投資家の買いがそれに向けて流入する可能性がある。一方、株式市場全体は活況展開が続いている。東証1部の出来高は6月27日まで22日連続で10億株超となったが、これはバブル期の89年の20日を上回る最長記録。
そうした6月27日に売買代金トップの大商いとなったのがソフトバンク。株価は昨年6月以来の2000円回復。米国市場でアマゾン、米ヤフーなどインターネット関連株の強調が続いていること、子会社のヤフーの株価上昇(今年の安値から2倍以上)、そして信用取引での空売りが高水準にあり株価上昇で買い戻しが増えていることなどが背景。(有賀勝久)
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